岡山大学北津寮襲撃事件

岡山大学北津寮襲撃事件

岡山大学北津寮襲撃事件は、1975年5月25日に岡山県岡山市で発生した凶悪な殺人事件で、マルクス主義青年同盟（後の「がんばろう、日本!」国民協議会）によって引き起こされました。この事件では、寮生1人が命を奪われ、多くが負傷しました。事件の背後には、当時の学生運動の激化がありました。

事件の背景

1975年4月16日から、岡山大学にマルクス主義青年同盟を名乗る新左翼党派が介入を試みました。彼らは岡山大学を拠点にすることを希望し、寮生へのオルグ活動を展開しました。これに対し、北津寮の大多数の寮生はその活動に否定的でした。双方の対立は深まり、事件の2日前にはすでに負傷者が出る事態となっていました。

衝撃の襲撃

1975年5月25日、午後4時30分頃、マル青同のマイクロバス2台が北津寮に進入し、「革命をどう思うか」と叫びながら寮生を威圧しました。この時、寮運営委員や委員長が襲撃され、寮生の多くが負傷する事態に。襲撃後、寮生たちは抗議の集会を開きましたが、午後8時10分頃、リーダーである穂積亮次の指揮の下、再びマル青同のマイクロバスが突っ込み、倒れていた寮生を轢いてしまいました。この襲撃により、16人が重軽傷を負い、事態は一層深刻化しました。

証拠隠滅の試み

事件後、岡山県警察は中国自動車道上でマル青同のマイクロバスを発見し、車内から血痕の付いた鉄パイプや竹竿を押収しました。最終的に、乗車していた6人が逮捕されました。悲劇はここで終わらず、マル青同は犠牲となった寮生を隠そうとし、岡山市内の雑木林に遺体を埋めるという行為に出ました。しかし、数日後には捜索願が出され、29日に遺体が発見されました。遺体はひどく損傷しており、悲惨な状態でした。

学生の死と社会の反響

犠牲者はその年に入学したばかりの18歳の学生で、これは学生運動に関連する岡山大学内での死者としては3人目でした。この事件に対し、岡山大学の学長は声明を出し、寮生たちは「内ゲバではなく一方的な襲撃」とその性質を強調しました。事件の後、岡山大学内では「暴力一掃抗議集会」が開催され、学生たちの抗議の声が上がりました。

一方で、大学当局は事件発生時に警察に介入を求めることを躊躇しており、その対応の遅さに対する批判も強まりました。警察への介入をためらう大学の意図が、結果的により多くの苦しみを生むこととなったという意見もあり、事件は単なる暴力だけではなく、制度的な問題も浮き彫りにしました。

結論

岡山大学北津寮襲撃事件は、学生運動の中で生じた悲劇であり、社会全体に衝撃を与えました。新左翼と学生との対立が激化する中、ここでの暴力行為は単なる内輪の問題ではなく、より広範な社会問題の一面を映し出しています。

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