岡崎森林組合

岡崎森林組合：地域の森林を守り育てる

岡崎森林組合は、愛知県岡崎市明見町に事務所を構える森林組合です。岡崎市の森林地帯23,325ヘクタールを管理しており、これは市全体の面積のおよそ60%に相当します。

歴史

前史：はげ山からの脱却

現在の岡崎市額田町宮崎地区は、その9割以上が森林に覆われていますが、明治時代中期までは広範囲にわたるはげ山でした。これは、春先に牛馬の飼料や肥料を採取するための山焼きが頻繁に行われていたためです。山焼きはしばしば周囲の私有林に燃え広がり、その結果、多くの私有林も雑木林となっていました。

1889年（明治22年）に宮崎村の初代村長に就任した山本源吉は、村の発展には植林が不可欠であると考えました。1895年（明治28年）には山焼きを禁止し、同年、「宮崎村共有林保護規則」を制定。この規則では、50年間にわたり毎年7万本以上のスギやヒノキを植えること、1000本以上の植林に対して10円の補助金を支給することなどが定められました。その結果、9年間で36万本もの植林が実現しました。

1910年（明治43年）、山本は愛知県の指導のもと、「宮崎村有林事業計画書」を作成。この計画書は、村有林での30年以上にわたる植林計画や防火線設置計画などを盛り込んだもので、名古屋市で開催された博覧会「第10回関西府県連合共進会」で一等賞を獲得し、山本の功績は広く知られるようになりました。

河原土工森林組合の設立と合併

1921年（大正10年）、山本源吉を中心に75名が集まり、「河原土工森林組合」が設立されました。その後、1934年（昭和9年）には宮崎地区で「中部土工森林組合」が設立され、1941年（昭和16年）には河原と中部が合併し、「宮崎村森林組合（のちに宮崎森林組合）」となりました。

1962年（昭和37年）には、旧形埜村と旧下山村の森林組合が合併し、「額田北部森林組合」が誕生しました。そして1975年（昭和50年）3月15日、上記「宮崎」、「額田北部」、そして「豊富森林組合」の三つの組合が合併し、「額田町森林組合」が設立されました。この合併は、1956年（昭和31年）の4村合併から19年もの歳月を要しました。その背景には、組合間の規模や体質の差があったと言われています。組合員が所有する森林面積はほぼ同じでしたが、活動内容においては宮崎と他の2組合との間に大きな隔たりがありました。合併前年の出資金額は、宮崎が3,312万9000円であったのに対し、額田北部が250万円、豊富が137万6000円でした。また、宮崎は独自の製材工場を持ち、10名の常勤職員と作業班を組織していましたが、他の2組合は職員2名で植林用種苗の斡旋や造林補助金の申請事務が主な業務でした。資産面でも、宮崎の2千数百万円に対し、額田北部と豊富はそれぞれ100万円ほどでした。

1975年（昭和50年）6月には、森林組合の合併に伴い、町ごとの林業クラブも統合され、額田林業クラブが設立されました。林業を基幹産業として発展を遂げましたが、1964年（昭和39年）の木材輸入全面自由化以降、特に宮崎地区では収入が大幅に減少しました。

額田林業クラブは、2017年（平成29年）2月27日に平成28年度全国林業グループコンクールにおいて林野庁長官賞を受賞しています。

岡崎市との合併、そして現在

2006年（平成18年）1月1日、岡崎市は額田町を編入合併しました。これを受け、「額田町森林組合」と「岡崎市森林組合」は、2008年（平成20年）6月6日に合併予備契約を締結。この契約により、組合員1,228名を擁する岡崎市森林組合は解散し、組合員1,526名の額田町森林組合に吸収合併されることが決定しました。事務所は明見町の額田町森林組合に置かれ、新理事13名のうち6割程度は額田から選出されることとなりました。同年10月1日、「岡崎森林組合」が正式に発足しました。

初代代表理事組合長には、額田町森林組合長の平松繁が就任しました。組合員数は3,401名、管理する森林面積は23,325ヘクタール、出資額は1億4,221万1,000円でした。

2011年（平成23年）6月には、岡崎市の元助役である眞木宏哉が代表理事組合長に就任しました。

管轄区域の概要

2006年（平成18年）1月1日の額田町との合併により、岡崎市の総面積38,724ヘクタールに対し、総森林面積は23,325ヘクタールとなりました。これは市域の約60%を占めています。その内訳は、国有林が405ヘクタール、民有林が22,920ヘクタールです。

矢作川流域の一帯は、明治時代から昭和初期にかけて多くがはげ山でしたが、戦後、特に額田地区の本宮山周辺や宮崎地区で植林が進み、林業が盛んに行われてきました。2015年（平成27年）時点での人工林率は58.5％です。

人工林の内訳は、スギが2,323ヘクタール、ヒノキが8,394ヘクタール、マツ類が2,640ヘクタールとなっており、ヒノキの植林地が多いことが特徴です。

2015年（平成27年）には、森林再生と地域振興を目指す「木の駅プロジェクト」が岡崎市でも開始され、同年5月15日には「額田木の駅プロジェクト」の開駅式が桜形町で開催されました。このプロジェクトは全国約70ヶ所で実施されており、初年度の出荷量は100トンに満たない所が多い中、額田地区では初年度に840トンもの出荷量を記録しました。

岡崎森林組合は、地域の森林資源を守り育てながら、地域経済の活性化にも貢献しています。

もう一度検索