岡崎空襲

岡崎空襲（おかざきくうしゅう）

岡崎空襲は、第二次世界大戦の終息間近の1945年7月19日から20日にかけて、アメリカ軍により愛知県岡崎市に行われた大規模な空襲のことを指します。この攻撃は、約90機の航空機による1時間半の連続的な爆撃を伴い、最終的には岡崎市に多大な損害をもたらしました。

背景

岡崎市は1945年1月から米軍による爆撃を受け始めました。最初は小規模なものでしたが、次第にその頻度と規模が増していきました。特に、6月には岡崎市が主要な爆撃目標の一つとして名を連ねることになりました。これは、名古屋市周辺の都市と同様に、国民の戦意を打ち砕き、産業を破壊する目的があったとされています。アメリカ合衆国の作成した報告書によれば、岡崎市が位置する名古屋周辺は、多くの重要な工場の下請け工場が存在しており、これを狙った攻撃が意図されたということです。

空襲の実施

1945年7月19日、米軍は岡崎市に対し正式に爆撃を開始しました。最初にP-51戦闘機が襲来し、続いてB-29爆撃機126機による本格的な爆撃が行われました。投下されたのは焼夷弾を中心に12,506発に上り、岡崎市の中心部周辺が次々と炎に包まれました。この攻撃による被害は甚大で、爆撃開始から約10時間の間に岡崎市での火災は続きました。

被害状況

岡崎空襲の結果、人的被害として当初は死者207名、行方不明者13名、被災者数は32,068名とされていました。しかし、その後の調査により2016年には死者数が280名に修正されました。建物の被害は全壊した戸数は7,312戸、半壊が230戸に及び、岡崎市の約3分の1にあたる住居が失われる結果となりました。

特に、岡崎市立病院や岡崎市立図書館などの公共施設、さらには多くの神社や学校も焦土となりました。一方で、市役所は運営を維持し、「自衛団」によって被害を最小限に抑えることに成功しました。

復興の軌跡

岡崎市は戦後、さまざまな復興活動を行い、路面電車の早急な復旧を含む多くの復興事業を展開しました。バラックが建てられ、商業活動も再開した結果、徐々に賑わいを取り戻しました。1946年には「戦災都市」として指定され、復興は大規模な計画のもと進められ、住居や公共施設の再建が続けられました。1950年代には多くの復興事業が完了し、岡崎市は全国的に見ても復興のペースが速い都市として知られるようになりました。

現在の状況

岡崎空襲の歴史は今も市民の心に残り、毎年7月には追悼式が行われます。近年では空襲の実態や遺族の思いを記録する活動も続いており、戦争の記憶を未来に伝えていく努力がなされています。2016年には市が新たな死者数を発表したこともあり、岡崎空襲の記憶は引き続き市民にとって重要なテーマとして受け継がれています。

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