岡本良知

岡本良知（おかもと よしとも）は、1900年2月20日に富山県富山市で生まれ、1972年8月6日に72歳で亡くなった日本の歴史学者です。彼の専門は、南蛮時代の日欧交渉史、キリシタン史など、幅広い分野に及びます。

経歴

1922年に東京外国語学校ポルトガル語部を卒業し、スペイン語部専修科も修了しました。同年、日本産業協会ブラジル国独立100年記念万国博覧会臨時出品部の書記として、リオデジャネイロに赴任しました。1925年には日葡協会主事となり、1930年から1931年まで資料調査のためヨーロッパに滞在しました。帰国後、1933年に東京高等拓殖学校の教授に就任しました。その後、1938年に宮崎高等農林学校講師、1942年に法政大学高等師範部講師、1943年に東洋堂常務取締役、1952年に立正大学専任講師、1955年に別府大学教授、1957年に亜細亜大学教授、1965年に上智大学兼任教授を歴任しました。1972年に亜細亜大学を定年退職しました。

岡本良知は、長年にわたり教育者としても活躍し、多くの学生を育成しました。彼の講義は、深い知識と情熱にあふれ、学生たちに大きな影響を与えました。

研究業績

岡本良知の研究は、南蛮時代の日欧交渉史やキリシタン史を中心に、多岐にわたります。彼は、豊富な資料に基づいて、当時の日本とヨーロッパの関係を詳細に分析しました。特に、16世紀の世界地図における日本の位置づけや、キリシタン文化が日本に与えた影響について、多くの研究成果を発表しました。これらの研究は、日本史研究における重要な貢献と評価されています。

著書

岡本良知は、数多くの著書を執筆しました。その中でも、特に重要なものとしては、『十六世紀日欧交通史の研究』や『桃山時代のキリスト教文化』などが挙げられます。これらの著作は、彼の研究成果を広く社会に知らしめる上で、大きな役割を果たしました。以下に主な著書を列記します。

『ポルトガルを訪ねる』日葡協会 1930
『長崎開港以前欧舶来往考』日東書院 1932
『十六世紀日欧交通史の研究』弘文荘 1936（六甲書房、1942　原書房、1974）
『十六世紀世界地図上の日本』弘文荘 1938
『天正十四年大坂城謁見記』笠原書店 1942
『中世モルッカ諸島の香料』東洋堂 1944
『桃山時代のキリスト教文化』東洋堂 1948
『吉利支丹洋画史序説』昭森社 1953
『南蛮屏風考』昭森社 1955
『豊臣秀吉 南蛮人の記録による』中公新書 1963
『日本の美術 第19 南蛮美術』平凡社 1965
『十六世紀における日本地図の発達』八木書店 1973
『キリシタンの時代 その文化と貿易』高瀬弘一郎編 八木書店 1987

共著・翻訳

岡本良知は、単著だけでなく、共著や翻訳も多く手がけました。

『南蛮屏風』高見沢忠雄共著 鹿島研究所出版会 1970
ジョルダン・ア・デ・フレイタス『初期耶蘇教徒編述日本語学書研究』日葡協会 1929
ルイス・フロイス『九州三侯遣欧使節行記』訳註 東洋堂 1942
シリング『日本に於ける耶蘇会の学校制度』東洋堂 1943
ルイス・フロイス『九州三侯遣欧使節行記 続編』アンリー・ベルナール、ジエ・ア・ア・ピント共編訳 東洋堂 1949
ジェロニモ・デ・アンジェリス,ディオゴ・カルワーリュ共著 H.チースリク編『北方探検記 元和年間に於ける外国人の蝦夷報告書』吉川弘文館 1962

これらの著作は、彼の研究の幅広さと、深い知識を物語っています。

論文

岡本良知は、数多くの論文も発表しています。これらの論文は、彼の研究の深化と広がりを示すものです。

参考文献

岡本良知の研究については、以下の文献でより詳しく知ることができます。

張祥義（編）「故岡本良知教授略歴・著作目録」『亜細亜大学教養部紀要』第7号、亜細亜大学、1972年、41-52頁、NAID 110004643819。

岡本良知は、日本の歴史学界に大きな足跡を残した人物です。彼の研究は、これからも多くの研究者や学生に影響を与え続けるでしょう。

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