岡本諟明

岡本 諟明（おかもと ただあき）

南九州大学で教授を務める岡本 諟明（おかもと ただあき）氏は、農学博士号を持つ研究者であり、日本の緑化、造園、そして芝草分野における重要な貢献者の一人です。その学術的なキャリアは、複数の異なる分野にわたる深い学びと、長年にわたる実践的な研究に基づいています。

岡本氏はまず、1960年に大阪府立大学農学部園芸学科を卒業し、農学の基礎を修めました。その後、1966年には大阪工業大学工学部建築学科を卒業するという、異分野での学びを経験しています。この農業と建築という異なる視点は、ランドスケープや都市緑化といった分野における研究に、複合的な視点をもたらしたと考えられます。大阪府立大学で農学博士の学位を取得しており、専門分野における深い学識が裏付けられています。

研究活動は、特に芝草に関する分野で顕著であり、日本芝草学会の評議員を1992年から務めた経験があります。また、日本造園学会、日本緑化工学会にも所属しており、日本緑化工学会においては環境林研究部会の幹事として、学会活動の中心的な役割を担っています。これらの学会での活動を通じて、関連分野の研究者や実務家との交流を深め、自身の研究成果を発表し、議論を重ねることで、学術分野の発展に寄与しています。

岡本氏の知見は、数多くの著作物として広く共有されています。共著を含め、多岐にわたるテーマに関する書籍を執筆しており、その多くが専門家や学生にとって重要な参考文献となっています。主な著作には、以下のものが挙げられます。

1972年 『植生図・主要動植物地図(27.大阪府)』（共著、文化庁） - 地域生態に関する基礎資料。
1977年 『都市林の設計と管理』（共著、農林出版） - 都市における森林のあり方や管理に関する研究。
1978年 『造園ハンドブック』（共著、技報堂出版） - 造園に関する幅広い知識を網羅。
1980年 『造園修景大事典』（共著、同朋舎出版） - 造園・修景分野の専門用語や技術を解説。
1983年 『園芸学実験・実習』（養賢堂） - 園芸学教育における実践的な内容。
1986年 『まもろう つくろう大阪の緑』（大阪府植樹祭実行委員会） - 地域緑化への啓発活動。
1987年 『大阪市北区・造幣局「通り抜け」(桜の老齢木樹勢回復のための調査・試験研究) 』（(財)日本花の会） - 特定の樹木の保全に関する実践的な研究事例。
1989年 『最先端の緑化技術』（ソフトサイエンス社） - 当時の最新緑化技術を紹介。
1998年 『ランドスケープ大系第4巻・ランドスケープと緑化』（技報堂出版） - ランドスケープにおける緑化の重要性を論じる。
2001年 『最新芝生・芝草調査法』（ソフトサイエンス社） - 芝草研究における専門的な調査手法を詳述。

これらの著作からは、植生調査や樹木医的なアプローチから、都市計画や造園技術、さらには園芸学教育に至るまで、その研究関心の幅広さと深さが伺えます。特に芝草に関する専門書は、この分野における岡本氏の権威を示すものです。また、多くの著作が共著であることは、他分野の研究者や実務家との連携を重視し、共同で知見を体系化してきた姿勢を反映しています。

現在、南九州大学で後進の指導にあたる傍ら、緑化や造園、芝草に関する研究を継続し、その成果を社会に還元しています。長年にわたる研究と教育、そして学会活動を通じて、日本の緑地環境の向上に多大な貢献を続けている研究者です。

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