岡村俊昭

岡村 俊昭: 台湾出身のプロ野球選手

岡村俊昭（おかむら としあき、台湾名：葉 天送）は、1912年5月4日に台湾の花蓮県に生まれ、1996年1月25日に逝去した日本のプロ野球選手です。彼はキャリアの初めに捕手として活躍し、後に外野手に転向しました。岡村は野球界で数々の功績を残した選手です。

来歴と野球人生

岡村は台湾の夜間学校に通いながら、地域の軟式野球チームに参加していました。1929年、平安中学校に進学し、そこでも野球に情熱を注ぎました。彼の在学中、平安中ではすでに他の四人の選手が野球留学を果たしていました。岡村は主に捕手として活躍し、1933年の夏には甲子園で準優勝を達成しました。彼は甲子園に延べ9回出場した選手の一人で、その出場回数は特筆すべきものです。

岡村は平安中学を卒業後、日本大学（旧制）に進み、1939年に南海軍に入団しました。プロとしてのキャリアをスタートした彼は、当初捕手としてプレーしていましたが、外野手に転向することになります。しかし、外野手としての最初の年は守備面で不安定であり、1939年7月30日の阪神戦では3度の落球を記録したことが話題となりました。

首位打者の栄光

1944年、岡村は首位打者を獲得しました。この年の彼の打率は.369であった一方、チームの勝率は.324でした。これは彼が「所属チームの勝率よりも打率の高い首位打者」となった証であり、非常に珍しい記録の一つです。彼がその名に恥じない才能を発揮した瞬間でした。

また、岡村は1944年に最多安打も達成した選手でありながら、そのシーズンに本塁打を打たなかった「本塁打0の首位打者」という特異な記録も持っていました。彼のプロ入り以降、これに類似する記録を持つ選手は現れることがなく、特異な存在として今も語り草となっています。

引退後の活動

1949年に現役を引退した後、岡村はコーチを1960年まで務め、南海の「百万ドルの内野陣」を形成することに貢献しました。彼は若手選手の育成にも力を入れ、特に野村克也選手を気にかけていたことでも知られています。1956年の春季キャンプでは、野村をハワイに連れて行くよう監督に進言するなど、その影響力は今でも語り継がれています。

さらに、岡村は1961年から1972年までスカウトとしても活動し、南海の発展に寄与しました。彼の功績は南海にとって大きなものであり、1996年に亡くなるまで、京都市で静かな生活を送りました。

台湾との絆

岡村は生前、台湾の出自についてあまり語ることがなかったため、彼の周囲には不明瞭な点が多く残されていました。しかし、2010年代に入ってから、台湾のジャーナリスト鄭仲嵐が岡村の遺族に接触し、徐々に彼の故郷問題や親族との関わりが明らかになりました。遺族の証言を元に調査が進み、彼が台湾原住民のアミ族であることが確認されました。彼の出生名や背景についてもルポルタージュとしてまとめられ、2024年には台湾で本が出版される予定です。

岡村の野球人生とその背後にあるストーリーは多面的で、彼の存在を知り、尊重する選手として後世に伝えていくことが大切です。

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