岡松参太郎

岡松参太郎

岡松参太郎（1871年9月23日 - 1921年12月15日）は、日本の法学者であり、特に民法学において重要な足跡を残しました。彼は京都帝国大学法科大学（現在の京都大学法学部）の教授を務め、多くの後進を育成しました。儒学者である岡松甕谷の三男として生まれ、その学問的背景が彼の法律研究に影響を与えたと考えられています。

生涯

宮崎県延岡市出身の岡松は、東京府尋常中学、第一高等学校を経て、1894年に帝国大学法科大学英法科を卒業しました。卒業後すぐに助教授に就任し、1896年から1899年までヨーロッパに留学し、民法研究に励みました。留学中には、民族法学者のヨーゼフ・コーラーらと交流し、国際的な視野を広げました。

1899年に京都帝国大学法科大学教授に就任してからは、法学の研究と教育に尽力しました。また、後藤新平に請われ、台湾総督府臨時台湾旧慣調査会に参加し、台湾の法慣行調査に携わりました。この調査を通じて、『台湾私法』や『蕃族慣行研究』をまとめ、台湾のインフラ整備の基礎を築きました。後藤が満鉄総裁に転じると、1907年には京都帝大在任のまま満鉄理事に任じられ、翌年には帝国学士院賞を受賞、満鉄東亜経済調査局長を兼任し、同社の調査部門の基礎を確立しました。

1913年に京都帝国大学を退官し、満鉄理事も辞職しました。1917年には拓殖調査会委員に就任しましたが、1921年に死去しました。晩年には、コーラーやA. H. ポストを参照し、台湾における比較法学研究の集大成として『台湾番族慣習研究』を出版しました。

業績と人物

岡松参太郎は、ドイツ流の精緻な法解釈を日本に導入し、日本の法学会、特に民法学の発展に大きく貢献しました。彼の研究は、その後の日本の法学に大きな影響を与え、多くの法学者に影響を与えました。

著書には、『法律行為論』、『無過失損害賠償責任論』、『註釈 民法理由』（全3巻）、『刑法の私法観』などがあります。特に無過失責任論の研究は、この分野における古典として高く評価されています。

栄典

1903年（明治36年）12月26日 - 正六位
1909年（明治42年）7月10日 - 正五位

親族

父親の岡松甕谷は熊本藩士であり、弟には国務大臣を歴任した井上匡四郎がいます。妹の鳰は法学者山田喜之助の妻であり、妻の民は林欽次の娘です。長男の岡松成太郎は商工次官を歴任し、その子供である岡松壯三郎は経産官僚として活躍しました。次男の進次郎は宮内事務官であり、その妻・好は十文字大元の娘です。

岡松参太郎は、日本の法学、特に民法学の発展に大きく貢献しただけでなく、台湾や満州における法制度の確立にも尽力しました。彼の業績は、今日の日本の法学においても重要な意義を持っています。

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