岡田三郎

岡田三郎（おかだ さぶろう）

岡田三郎は、1890年2月4日に北海道松前郡福山町で生まれた日本の小説家です。彼の家族は鰊漁を営む漁師の家庭で、さらに近江商人の伝統も受け継いでいました。14歳の時に小樽に移住し、庁立小樽中学校を卒業後、税務署に勤務、その後、兵役を経験しました。画家を目指していた時期もありましたが、兵役から帰ってからは作家としての道を志すようになり、徳田秋声に師事しました。

早稲田大学の日本文学科に在籍中、彼は『涯なき路』や『影』といった作品を発表し、文壇にデビューしました。1919年に大学を卒業後、博文館に勤務し、『文章世界』の編集部で活動を続けました。さらに、彼の姉の助けもあり、1921年にはパリに遊学し、そこでフランスの文化にも触れました。彼はその美貌と才能から、日本人の中で特にフランス女性に好まれた人物の一人とされています。

帰国後の1923年、彼は短編形式のコントと長篇小説『巴里』を発表し、その後も多くの作品を生み出しました。しかし、1937年には自身の私生活が大きなスキャンダルとなり、銀座のカフェで働く若い女性と駆け落ちし、その体験をもとに『秋』『玩具の勲章』『冬』『冬去りなば』といった作品を発表しました。

彼はまた、1932年に結成された秋声会のメンバーとしても活躍し、阿部知二や井伏鱒二らと共に文学活動を行いました。さらに、1930年には「日本キネマ」を設立し、自ら監督を務めた映画『昨日の薔薇』が公開されました。しかし、その後の人生は厳しいもので、結核を患い、何度かの結婚を経て結局孤独と貧困に苦しみ、1954年に惜しまれつつこの世を去りました。

彼の作品は、特に人間の感情や社会の矛盾を描くことに優れています。『涯なき路』『巴里』、その他多くの小説やエッセイは、現代の日本文学にも多大な影響を与えています。晩年には肺結核に悩まされ、結局三人の子を残して亡くなりましたが、その功績は今なお評価されています。

岡田三郎に関する資料は、遺族の協力のもと、小樽市ライオンズクラブの支援により小樽文学館に展示されています。彼の作品が過去から現在にかけて多くの人々に愛されていることは間違いありません。彼の文学的遺産は、現代読者にとっても新たな発見や感動をもたらすことでしょう。

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