岡田大池

岡田大池：歴史と自然が織りなす癒やしの空間

岡田大池は、岡山県倉敷市真備町岡田に位置する、静かで美しい溜め池です。大池ふるさと公園の中にあり、倉敷市真備ふるさと歴史館の北西に位置しています。池の中央には弁天島があり、橋で繋がっており、訪れる人々にとって憩いの場となっています。

歴史

岡田大池が造られた正確な年代は不明ですが、正徳年間（1711年から1716年）には既にその名が記録に残っています。備中国奉行を務めた小堀政一（1579年 - 1647年）が17世紀初頭に建設したという説もあります。長い歴史の中で、地域の農業を支える重要な役割を果たしてきました。

自然

池には亀や鯉、鮒などの魚が豊富に生息しており、四季折々の自然を楽しむことができます。特に冬季には、緋鳥鴨や真鴨、星羽白などの鴨が飛来し、バードウォッチングの名所としても知られています。江戸時代から1970年代ごろまで禁猟とされていたため、豊かな自然が保たれてきました。

大池の弁天様

弁天島には、「大池の弁天様」として親しまれる祠が建てられています。この祠は、岡田藩が1716年に建立したもので、辨財天が祀られています。辨財天は、もとは音楽を司る仏でしたが、福智の増益、延寿・財宝の獲得、天災地変の滅除、戦勝を司る女神である吉祥天と混同され、人々に信仰されてきました。大池の辨財天は左手に如意の宝珠を持ち、福徳を授ける姿をしています。また、近くには稲荷神社も祀られており、弁天の祠とともに岡田藩の守護を祈願していました。

横溝正史との関わり

推理作家の横溝正史は、第二次世界大戦末期から3年余り岡田に疎開しており、岡田大池をよく散歩で訪れていました。その অভিজ্ঞতা が、彼の作品に影響を与え、『空蝉処女』（うつせみおとめ）などの舞台として描かれています。作品には、岡田大池や大池の弁天様、大池の曲がり角にある「濡れ仏」（法界地蔵）が登場します。また、『本陣殺人事件』にも、岡田大池を想起させる記述が見られます。

横溝の妻・孝子の話によると、『空蝉処女』は、横溝が疎開宅の近くの加藤家の分家で見かけた女性の印象からインスピレーションを得て書かれたとされています。この女性の姿に戦争の悲愴さを重ね合わせ、当時の雰囲気を描写した作品として知られています。

アクセス

岡田大池へは、以下の方法でアクセスできます（倉敷市真備ふるさと歴史館が目印）。

JR西日本伯備線「清音駅」より徒歩約45分
井原鉄道「川辺宿駅」より徒歩約30分
真備地区コミュニティタクシーにて約25分
西ルート：「吉備真備駅」乗車 →「ふるさと歴史館」下車
南ルート：「川辺宿駅」乗車 →「ふるさと歴史館」下車

周辺施設

岡田大池の周辺には、以下の施設があります。

倉敷市真備ふるさと歴史館
横溝正史疎開宅
倉敷市立岡田小学校

岡田大池は、美しい自然と豊かな歴史が調和した、訪れる人々にとって心安らぐ場所です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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