岡田藩

岡田藩の概要

岡田藩（おかだはん）は、江戸時代に備中国下道郡岡田村、現在の倉敷市真備町に位置した藩です。藩庁は岡田陣屋に設置され、藩祖は豊臣秀吉に仕えた伊東長実です。江戸時代初期から明治時代まで、伊東氏は10代にわたり藩主を務め、藩を運営していました。石高は1万石余りという規模を持っていました。

また、藩の陣屋は過去に幾度か移転されています。元禄年間には、藩の広報として川辺宿に陣屋を構えたため、川辺藩とも呼ばれることもあります。

沿革と藩の設立

藩祖の伊東長実は、豊臣秀吉やその後の秀頼に仕えていた武士でした。関ヶ原の戦いでは、石田三成の挙兵の報を何よりも早く徳川家康に伝えた功績があります。その後、長実は大坂の陣で豊臣方として戦い、大坂城に籠城しましたが、戦後に許されることとなりました。

元和元年（1615年）、彼は備中国下道郡や美濃国、摂津国などにまたがる地を与えられ、岡田藩として正式に立藩しました。藩邸は元和2年（1616年）に服部村に置かれ、その後数回にわたって移転が行われました。特に寛永元年（1624年）には、上二万村の高見帯刀方に一時的に移転し、その後は川辺村や岡田村の中村屋敷、さらには岡田村の山屋敷に移動しました。このように、藩主の居所は地域の発展に応じて変わり続けました。特に明治4年（1871年）までの間、藩は伊東氏の所領として維持され続けました。

その後、岡田藩は廃[[藩置県]]の動きの中で岡田県となり、いくつかの県を経て岡山県に編入されました。伊東氏も、その名望を失うことはなく、後に華族として子爵の地位を得ていきました。

新本義民騒動

享保3年（1718年）、岡田藩では響き渡る一揆、いわゆる新本義民騒動が発生しました。これは、第5代藩主・長救の時代のもので、領民の権利を巡る争いから始まったものです。

藩内では領民が共同で使用していた土地が藩の公地と決定され、領民の立ち入りが禁止されました。その上、野山の樹木伐採の義務が課せられ、これに反発した領民たちは江戸に代表者を送って直訴を行いました。結果として、領民の権利が一部回復されましたが、直訴した者は処刑され、その家族や関与した者は藩内から追放されるという厳しい結果となりました。この処刑された4人の者たちは「義民四人衆」と称され、新本には彼らを称える義民碑が建てられています。

歴代藩主と領地

岡田藩の藩主はすべて伊東家に属しており、外様としての地位で藩主を務めました。以下は歴代藩主のリストです：

• - 長実
• - 長昌
• - 長治
• - 長貞
• - 長救
• - 長丘
• - 長詮
• - 長寛
• - 長裕
• - 長𫡰

藩の領地は主に備中国の下道郡の16村と、美濃国池田郡、河内国高安郡、摂津国豊島郡の土地を含んでいました。これらは藩の経済基盤を支える重要な役割を果たしました。

また、岡田藩は第二次世界大戦中には小説家の横溝正史が疎開していた場所でもあり、その作品の中で岡田藩の背景や歴史が著しく描写されています。特に、彼の作品には岡田藩に関連する多くの設定が見られ、その影響を今なお感じることができます。

まとめ

岡田藩は、豊臣秀吉に仕えた長実から始まる伊東氏の歴史を持つ藩です。領民との関係や藩主たちの政治的な運営、さらに地域に深く根ざした歴史的な事件を経て、岡田藩は日本の歴史の一部を形成してきました。

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