岡田太郎 (実業家)

岡田太郎の生涯：テレビプロデューサー、実業家としての軌跡

岡田太郎（おかだ たろう）は、1930年7月20日に東京で生まれ、2024年9月3日に94歳で生涯を閉じました。彼は、日本のテレビ業界黎明期から活躍したテレビプロデューサーであり、実業家としても手腕を発揮しました。特に、フジテレビの創成期におけるドラマ制作への貢献と、共同テレビジョンの社長としての経営手腕は特筆に値します。

若き日々と放送業界への足跡

岡田太郎は、旧制都立高校を卒業後、総理府の付属機関である国立世論調査所に勤務していました。1954年、同調査所が閉鎖されたことを機に、文化放送に入社し、放送業界でのキャリアをスタートさせました。

1958年、岡田はフジテレビジョンに移籍します。この時、フジテレビは文化放送、ニッポン放送と映画会社3社が共同で開局準備を進めていました。1959年3月1日の開局から間もない3月9日には、全26話のドラマ『陽のあたる坂道』の演出を担当し、その才能を発揮します。さらに、1960年には『日日の背信』の演出を手がけ、昼ドラというジャンルにおいて、アップを多用した演出で視聴者の情感を揺さぶり、高い評価を得ました。この手法は、文化放送在籍時に主婦向けのラジオドラマからヒントを得たものでした。

吉永小百合との出会いと結婚

1964年、岡田は吉永小百合の代表作の一つである映画『愛と死をみつめて』のドキュメンタリー番組のプロデューサーを務めたことがきっかけで、吉永と出会いました。当時19歳だった吉永の素直さに感銘を受けた岡田は、彼女とのヨーロッパ旅行を機に親交を深めます。そして9年後の1973年、2人は結婚しました。15歳という年齢差と人気絶頂の女優との結婚は、世間を驚かせ、大きな話題となりました。岡田と吉永は、第11回ゴールデン・アロー賞の話題賞を受賞する一方、結婚に対して、一部のファンからの嫌がらせや、吉永の両親が披露宴を欠席するなど、様々な噂も飛び交いました。

フジテレビでの苦難と共同テレビジョンでの活躍

結婚後、岡田はフジテレビ社内で、当時の経営路線に反発して労組の委員長に就任した経緯もあり、1974年から約6年間、経営資料室などに事実上「幽閉」されるという苦難を経験しました。しかし、1981年には『時代劇スペシャル』のプロデューサーとして現場に復帰し、1984年には編成局次長を務めるなど、その手腕を再び発揮しました。

1985年、岡田は共同テレビジョンに移籍し、取締役として新たなキャリアをスタートさせます。1995年には代表取締役社長に就任し、1999年には会長となります。2001年からは相談役を務め、2003年に退任するまで、その経営手腕を発揮しました。共同テレビジョンでは、数々の番組制作を指揮し、テレビ業界の発展に大きく貢献しました。

晩年と死

2023年12月、岡田は胆嚢癌が見つかり、療養生活を送っていましたが、2024年9月3日、東京都内の病院で94年の生涯を閉じました。最期は、地方での仕事を終え病院に駆けつけた妻・吉永小百合に看取られました。

岡田太郎は、テレビ業界の黎明期から第一線で活躍し、ドラマ制作、経営、そして実業家として、多岐にわたる分野で大きな足跡を残しました。その情熱と才能は、日本のテレビ史に深く刻まれています。

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