岡田定五郎

岡田 定五郎の生涯とその剣術

岡田定五郎（おかだ さだごろう）は、1849年に上野国安中藩で生まれ、1895年にこの世を去った明治時代の剣客です。本名は定道（さだみち）であり、彼は幕末から明治にかけて日本の武道界に名を馳せました。定五郎は剣術の達人であり、特にその身体能力と振る舞いで多くの人々に記憶されています。

幼少期と修行

彼の剣術の道は、幕末の動乱期に始まります。若くして、同藩の剣術指南役である根岸松齢に入門し、荒木流の技術を学びました。16歳という若さで中段目録に達するという早熟な才能を見せた彼は、1865年には江戸に移り住むと、さらに千葉道三郎から北辰一刀流を学び、目録を授かります。このように、彼は早くから剣術の修行に励み、その後も安中藩の撃剣取締役助教授として教えを広めることになります。

鬼岡田と称された剣客

岡田はその剣術の技巧だけでなく、驚異的な膂力でも知られています。彼が竹刀で厚い板に突きをかまし、両手に米俵を吊るした状態で高下駄を履いて軽やかに動く姿から、「鬼岡田」というあだ名が付けられました。彼の名声は旅行するたびに広まり、剣術の実力者としての地位を確立しました。しかし、明治政府による藩の廃止が進むと、岡田は浪人生活を余儀なくされましたが、それでも剣術の道を歩むことを選びました。

上武合体剣術大会

1879年、岡田は埼玉県の陽雲寺境内で開催された上武合体剣術大会に出場します。この大会では、高西派一刀流の達人、高野佐吉郎との試合が予定されていました。しかし、高野は病気で試合に出られず、代理として彼の孫である高野佐三郎が岡田の相手となりました。若い高野が上段の構えを取ったとき、岡田は怒り、突きを繰り返しました。その結果、高野は負傷し、試合は岡田の勝利となりました。この試合は岡田にとって象徴的なものであり、彼の剣術の力の立証となりました。

復讐と断り

高野はこの結果を受けて岡田に復讐しようと決意し、上京して山岡鉄舟の道場で剣術を磨くことにしました。その後、岡田に再び試合を申し込むものの、岡田は高野の申し出を丁重に断ったとされています。このように、彼は戦いを求められても、剣士としての誇りを持ち続ける姿勢を示しました。

英隆館の設立

明治維新後、岡田は高崎に「英隆館」と呼ばれる道場を開き、剣術を学ぶ門人たちを指導しました。彼の教えは多くの若者たちに受け継がれ、今もなお日本の剣道界に影響を与えています。岡田定五郎の生涯は、剣術の道に従事する者にとって、示唆に富むものとなっています。彼の努力と誇りは、後世の剣士たちに勇気を与える存在となり、忘れがたい武道の伝説として語り継がれています。

もう一度検索