岡田秀春

岡田 秀春

1964年3月20日生まれ。長野県松本市出身。日本の実業家であり、プロデューサーとしてコンサート、ミュージカル、オペラといった舞台芸術から、レコーディング、映画、テレビ番組の制作まで、多岐にわたるエンターテインメント分野で活動を展開している。

彼のキャリアの礎には、少年時代の音楽体験がある。小学5年生の時、ラジオで耳にしたビートルズの「ヘイ・ジュード」に衝撃を受け、以来、ビートルズの多様な音楽性に深く傾倒。この経験が、後に音楽や芸術に関わる道へと彼を導く原点となった。

日本大学生産工学部土木工学科を卒業後、1986年に東急サービス株式会社に入社。その後、モデル・役者マネジメントや雑誌編集、テレビ制作を手がける有限会社ステージオフィスで経験を積んだ。1991年には独立を果たし、マネジメントやキャスティング業務に携わる中で、「ビートルズのように長く愛される、実力のある人材を発掘し、育てたい」という強い思いを抱くようになる。

この思いを実現するため、1998年に株式会社ピュアハーツを設立。芸能プロダクションとして、音楽家や俳優、文化人のマネジメント、公演プロデュースなどを事業の柱とする。翌1999年には著作権管理を行う有限会社ピュアハーツ音楽出版を設立し、音楽制作にも本格的に進出した。さらに、2006年には子役専門のプロダクション、株式会社キッズキャンディ（現トレジャーハート）を立ち上げるなど、事業を拡大していく。

特に彼の活動において重要な存在となったのが、オペラ歌手の中島啓江氏である。彼女のビートルズカバーアルバム制作をきっかけに、中島氏がピュアハーツ所属アーティストとなる。二人は単なる仕事上の関係を超え、深い信頼で結ばれたパートナーとして様々な活動を共にした。

その一つが、被災地支援のための無料コンサートである。阪神・淡路大震災をはじめとする災害の被災地への寄付を目的としたこのコンサートは、2007年に東京でスタートし、中島氏が急逝する2014年まで毎年続けられた。

また、2009年には、音楽を通じた社会貢献活動をより組織的に行うため、中島氏と共にNPO法人音楽で日本の笑顔を設立。理事長に就任し、合唱を通して地域住民の交流を育む活動に力を注いだ。クラシック音楽への傾倒は、ロックやR&Bを愛好していた彼にとって、中島氏との出会いから得られた新たな視点であった。

順調に活動が進む中、2014年11月、中島啓江氏が突然この世を去るという悲劇に見舞われる。かけがえのないパートナーを失い、深い悲しみの中にあった彼を救ったのは、NPO法人音楽で日本の笑顔を共に支える音楽家やスタッフ、仲間たちの存在だった。彼らと共に、中島氏の遺志を継ぎ、活動を継続することを決意する。

2015年には、声楽家の安田祥子氏をNPO法人の顧問に迎えるなど、新たな体制で活動を続ける。サントリーホールでの中島啓江追悼コンサートをプロデュースする一方、2017年からは安田氏や指揮者の坂本和彦氏らと被災地支援コンサート「音楽の旅アラカルト」を定期的に開催。2018年には宮城県南三陸町での無料コンサートを実現するなど、被災地に寄り添う活動を続けている。

プロデューサーとしては、中島啓江氏の代表的な定期公演「夢で逢いましょう」を2001年から17年間にわたりプロデュースしたほか、オペレッタ「こうもり」やオペラ「ひかりのゆりかご」「スサノオと美琴」、ミュージカル「ドラマティック古事記」など、著名な俳優や音楽家が出演する大規模な舞台作品を数多く手がけている。また、竹中直人氏らが出演した短編映画「おとめ桜」（2017年）では、地方再生を目的とした制作プロジェクト「イットジャパン」を設立するなど、新たな分野にも挑戦している。

さらに、未来を担う子どもたちの育成にも目を向け、2021年にはトレジャーハート・オンラインアカデミーにて『こどもYoutuberコース』を開講するなど、教育事業にも力を入れている。

岡田秀春氏は、音楽や舞台芸術への深い情熱と、人との繋がりを大切にする精神を原動力に、ビジネスと社会貢献活動を両立させながら、文化を通じて人々に希望と笑顔を届ける活動を続けている。

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