岡谷市役所

岡谷市役所について

岡谷市役所は、長野県岡谷市の行政を執行する機関であり、市民生活に不可欠な役割を担っています。市役所は、岡谷市の中心部に位置し、複数の庁舎によって構成されています。本稿では、岡谷市役所の概要、庁舎の歴史、特徴、組織について詳しく解説します。

概要

岡谷市は、長野県の中央部に位置し、諏訪湖の西岸に面した自然豊かな都市です。岡谷市役所は、この岡谷市の行政を担う中核的な施設であり、市民サービスの提供、地域社会の発展に貢献しています。

現庁舎

現在の岡谷市役所庁舎は、1987年（昭和62年）に竣工しました。これは、旧庁舎の老朽化に伴い、新たに建設されたものです。地上9階建ての庁舎には、市長部局をはじめ、監査委員、選挙管理委員会事務局、議会事務局など、市の重要な機関が入居しています。また、岡谷市観光協会や諏訪広域連合、長野県などが設立した諏訪広域総合情報センターも入居しており、地域行政の中枢としての役割を担っています。

庁舎の特徴

庁舎内には、市の歴史をテーマとしたステンドグラスが設置されています。このステンドグラスは、縦2.0メートル、横0.6メートルと大きく、クレアーレ熱海ゆがわら工房が原画を手がけました。また、庁舎前には服部セイコーが制作したからくり時計塔が設置されており、市民や観光客の目を楽しませています。

フロア構成

庁舎のフロア構成は時代によって変化していますが、2023年（令和5年）4月1日時点では、各部署が効率的に配置されています。市民が利用する窓口業務だけでなく、行政運営の中枢機能も集約されています。

旧庁舎

旧岡谷市役所庁舎は、1936年（昭和11年）3月に竣工しました。この建物は、平野村が市制を施行した際に建設されたもので、当時は平野村役場庁舎と呼ばれていました。後に岡谷市役所庁舎として使用され、長年にわたり市民に親しまれてきました。旧庁舎は、昭和初期の建築様式を今に伝える貴重な建造物として、2005年（平成17年）に登録有形文化財に登録され、近代化産業遺産にも認定されています。

旧庁舎の特徴

旧庁舎は、鉄筋コンクリート造りの地上2階建てで、洋風の素焼平瓦葺きの屋根とスクラッチタイルで仕上げられた外壁が特徴です。特に、丸窓やスクラッチタイルを使用した外観は、洗練されたモダンな印象を与えます。このスクラッチタイルは、地元企業の丸千製作所で焼かれたものです。

旧庁舎建設の経緯

旧庁舎は、実業家の尾澤福太郞が私財を投じて建設し、平野村に寄贈したという異例の経緯を持っています。当時、市制施行には庁舎の整備が必須でしたが、村の財政状況では困難でした。この状況を打開するため、村長の今井梧楼が尾澤に協力を依頼し、尾澤がその依頼を快諾しました。建設費用は約12万円と報じられています。庁舎の設計は、長野県庁の営繕課に依頼され、三苫繁實らが担当しました。施工は岡谷組が担当し、当時の技術力の高さが伺えます。建設にあたっては、基礎工事やコンクリート練りなど、ほぼすべてが手作業で行われました。

尾澤福太郎翁壽像

旧庁舎の横には、『尾澤福太郎翁壽像』が建立されています。これは、尾澤の功績を称えるために平野村が1936年（昭和11年）に建立したもので、彫刻家の武井直也によって制作されました。太平洋戦争中に金属供出のために一時撤去されましたが、その後セメントと青銅で再建されました。

旧庁舎の沿革

旧庁舎は、1936年の平野村役場から岡谷市役所への移行を経て、1987年に現庁舎が完成するまで、岡谷市の行政を支えてきました。その後、諏訪広域消防本部や岡谷消防署が使用し、現在は公益財団法人おかや文化振興事業団が入居しています。また、旧庁舎は映画『ゴジラ-1.0』の撮影にも使用され、その文化的価値が再認識されています。旧庁舎の保全のため、「旧岡谷市役所庁舎保全基金」も設立されています。

組織

岡谷市役所の組織は、時代とともに変化していますが、2024年（令和6年）4月1日時点では、市長部局を中心に様々な部署が設置されています。これらの部署が連携し、市民生活の向上に努めています。

まとめ

岡谷市役所は、現庁舎と旧庁舎の両方で、市民の生活を支える重要な役割を果たしています。現庁舎は、市の行政の中枢機能を担い、旧庁舎は歴史的な建造物として、市民に親しまれています。これらの庁舎は、岡谷市の歴史と文化を象徴する存在であり、今後も大切に守り、活用していく必要があります。

もう一度検索