岡部三郎 (土木工学者)

岡部三郎

岡部三郎（おかべ さぶろう、1892年6月8日 - 1978年4月18日）は、大正時代から昭和時代にかけて活躍した日本の土木工学者、内務官僚です。

生い立ちと初期のキャリア

1892年（明治25年）に福島県で生まれた岡部三郎は、1916年（大正5年）に東京帝国大学工科大学土木工学科を卒業しました。卒業後、内務省に入省し、土木技術者としてのキャリアをスタートさせました。初期の重要なプロジェクトとして、1920年（大正9年）まで信濃川の分水工事に従事しました。

関東大震災と横浜港復旧

1921年（大正10年）には横浜港拡張工事のため、横浜土木出張所に赴任しました。しかし、在任中に発生した関東大震災により、港湾施設は甚大な被害を受けました。岡部は、この未曾有の災害からの復旧工事に尽力し、横浜港の早期復興に大きく貢献しました。

大阪市での活躍

1924年（大正13年）、岡部は大阪市の顧問に転じました。ここでは、堂島川、土佐堀川、道頓堀川などの可動堰設計や、日本初の沈埋式トンネルである安治川河底トンネルの設計を担当しました。これらのプロジェクトを通じて、都市のインフラ整備に貢献しました。

東京市での橋梁整備

1927年（昭和2年）、岡部は官職を辞し、東京市土木局橋梁課長に就任しました。この役職で、吾妻橋、厩橋、両国橋など、市内の主要な橋梁の修理や架設を指揮しました。橋梁の維持管理と都市景観の向上に貢献しました。

教育と学術活動

1929年（昭和4年）に東京市を退職した後、岡部は教育分野にも進出しました。1940年（昭和15年）から1954年（昭和29年）まで、東京大学で講師として港湾工学に関する講義を担当し、後進の育成に尽力しました。また、1965年（昭和40年）には土木学会第53代会長を務め、学術界にも貢献しました。

その他の活動

岡部は、尼崎築港、東京湾埋立（現東亜建設工業）、日本建設業連合会、日本経済団体連合会など、様々な団体の役員を歴任しました。また、運輸省、東京都、横浜市、神戸市などの港湾審議会委員も務め、幅広い分野で専門知識を活かしました。

親族

長女の夫は、実業家星一の次男であり、作家星新一の実弟です。

栄典

1959年（昭和34年）には、長年の功績が認められ、藍綬褒章を受章しました。

まとめ

岡部三郎は、土木技術者として、また教育者として、日本のインフラ整備と発展に大きく貢献しました。彼の業績は、今日の社会基盤を支える上で重要な役割を果たしています。

参考文献

* 高橋裕、藤井肇男 共著『近代日本土木人物事典: 国土を築いた人々』鹿島出版会、2013年。ISBN 4306094294。

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