岩下志麻

岩下志麻の歩み

岩下志麻（いわした しま）は、1941年1月3日生まれで、日本を代表する女優として知られています。東京都中央区で生まれ、本名は篠田志麻です。彼女は、俳優の野々村潔と新劇女優の山岸美代子の長女として育ちました。幼少期から芸術に囲まれ、奈良の有名な河原崎長十郎が義理の伯父にあたるなど、演劇環境が整った中で成長しました。さらに、彼女の夫は映画監督の篠田正浩であり、兄弟には元俳優の岩下亮がいます。

幼少期と学びの道

岩下は、東京都立武蔵高等学校から明星学園高校へ編入し、最終的に成城大学文芸学部に在籍しましたが、1962年に中退しました。精神科医を志望していましたが、16歳から17歳の頃、小児リウマチにかかり長期間入院。その間に、気を紛らすためにNHKドラマ『バス通り裏』に出演し、これが女優デビューのきっかけとなりました。映画デビューは1960年の『乾いた湖』で、松竹に在籍してからのキャリアがスタートしました。

劇的なキャリアの始まり

岩下は松竹で16年間の活動を通じ、当時の映画界を支える存在となりました。特に1962年に小津安二郎の遺作となった『秋刀魚の味』でヒロインに抜擢され、彼女の名を広めました。小津監督の影響は大きく、海外で帰国時に頻繁に彼について質問を受けると語っています。

私生活と独立プロダクション

1966年、映画監督の篠田正浩と仏前結婚式を挙げ、その後二人で独立プロダクション「表現社」を設立しました。『心中天網島』など多くの作品を成功に導き、徐々に女優としても母親としても両立を求める難しさに直面するようになります。1973年には長女が誕生し、彼女の人生は女優、妻、母という3つの顔が交差する複雑なものと変わっていきました。1977年の映画『はなれ瞽女おりん』での成功が彼女の決意を新たにし、以降も女優業を続けることになります。

積み重ねられた受賞歴

岩下はその後も数々の賞を受賞し続け、特に映画『極道の妻たち』シリーズでの活躍は広く知られています。また、2000年には日本メナード化粧品のCMに28年間出演し、専属タレント契約として世界最長の記録が『ギネス・ワールド・レコーズ』に認定されました。

時代を超えて

1999年には、着物デザイナーとしての活動も始め、特に2000年には「20世紀の映画スター女優」にも選出されるなど、その影響力は多岐にわたりました。2004年には紫綬褒章、2012年には旭日小綬章を受章しています。趣味は陶芸や旅行で、健康にも気を使っており、体重が20年間変わらないなどの健康法も注目されています。

結び

岩下志麻の女優としての道のりは、彼女自身の懸命な努力と独自の視点で築かれたものです。今でも多くのファンや後輩たちに愛され続ける存在であり、映画界や舞台での貢献は計り知れません。「他の人間になれることが、私の女優としての最大の喜び」と語る彼女の表現力は、これからも多くの人々に感動を与えることでしょう。

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