岩井宏實

岩井宏實（いわい ひろみ）は、1932年3月5日に生まれ、2016年2月29日に没した日本の著名な民俗学者です。国立歴史民俗博物館と帝塚山大学の名誉教授であり、大分県立歴史博物館の顧問も務めました。

奈良市で生まれた岩井は、奈良県立奈良高等学校を経て立命館大学文学部を卒業。同大学院文学研究科日本史学専攻修士課程を修了しました。その後、大阪市立博物館の学芸員、国立歴史民俗博物館の教授を歴任し、1996年に定年退官。帝塚山大学教授、学長に就任しました。1988年には「地域社会の民俗学的研究」で筑波大学より文学博士の学位を取得しています。

岩井の研究は、民具、民間信仰、宗教民俗学といった分野に及びます。彼は、日本の伝統文化や風習が、地域社会の中でどのように形成され、変容してきたのかを詳細に分析しました。特に、絵馬に関する研究は、その文化史的な意義を明らかにしたものとして高く評価されています。

著書も多数あり、一般読者にも親しみやすいものから、専門的な研究書まで幅広く執筆しています。

主な著書としては以下のようなものがあります。

『小絵馬』
『奈良祭事記 古都の行事めぐり』
『絵馬 ものと人間の文化史』
『暮しの中の神さん仏さん』
『正月はなぜめでたいか—暮らしの中の民俗学』
『暮しの中の妖怪たち』
『地域社会の民俗学的研究』
『民具の博物誌』
『曲物－ものと人間の文化史』
『民具の歳時記』
『ちょっと昔の道具たち』
『旅の民俗誌』
『日本の伝統を読み解く暮らしの謎学』
『妖怪と絵馬と七福神』
『昭和を生きた道具たち』
『「君の名は」の民俗学』
『看板 ものと人間の文化史』
『絵馬に願いを』
『奈良の祭事記 日本人の心の原点をたどる！』
『女のちから 霊力・才覚・技量』
『民具学の基礎』
『日本人祝いと祀りのしきたり』

これらの著作を通じて、岩井は日本の民俗文化の魅力を広く伝え、多くの人々にその価値を再認識させました。彼の研究は、民俗学の発展に大きく貢献しただけでなく、日本人のアイデンティティや文化に対する理解を深める上で重要な役割を果たしています。

岩井宏實は、日本の民俗学界における重要な人物の一人として、その功績は永く記憶されることでしょう。

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