岩倉 壽(いわくら ひさし)
岩倉壽は、
1936年6月30日に
香川県三豊郡山本町で生まれた
日本画家であり、
2018年10月11日に惜しまれつつこの世を去った。彼は日本藝術院の会員であっただけでなく、
日展の常務理事や
京都市立芸術大学の名誉教授としても知られており、日本の美術界に多大な影響を与えた人物である。
初期生活と教育
彼の教育背景は、
香川県立観音寺第一高等学校を卒業後、京都市立美術大学(現・
京都市立芸術大学)に進学し、
日本画科を専攻した。卒業後、さらなる学びを求めて同大学の専攻科に進み、
1961年に修了した。大学在学中には
日展への初入選を果たし、彼の画家としての礎が築かれた。
師事と新たな道
1959年に京都市立美術大学を卒業した岩倉は、晨鳥社に所属し、著名な画家である
山口華楊に師事した。彼の作品は特に風景や花鳥を題材にし、淡い色彩で描かれるのが特徴である。
日展を舞台に作品を発表し、やがてその名声は高まっていった。
教育者としての側面
岩倉は画家活動と並行して教育者としても多くの業績を残した。
1962年には京都市立美術大学の教授に就任し、後進の指導に努めてきた。彼の関与する教育の場は、単なる技術の伝授にとどまらず、次世代のアーティストへの助言やインスピレーションを提供するものであった。
賞歴と作品
岩倉はそのキャリアの中で多くの受賞歴を持つ。
1963年には関西展で読売新聞社賞を受賞し、
1966年には
日展で特選を獲得する。
1990年には
日展内閣総理大臣賞、
2003年には日本藝術院賞を受賞し、彼の作品は国内外で高く評価された。特に
1972年の新
日展では「柳図」が、
1976年の同展では「山里」が特選に選ばれるなど、彼の才能が評価されていった。
日本藝術院とその後
2006年には日本藝術院の会員に就任し、その後も日本の美術界で重要な役割を果たし続けた。
2010年には、笠岡市立竹喬美術館で岩倉壽展が開催され、彼の作品が広く紹介された。
最期と遺産
2018年に彼は敗血症性ショックによって逝去したが、その死は日本の美術界に大きな喪失をもたらした。叙
正四位および旭日中綬章が追贈されるなど、岩倉壽の業績はその後も語り継がれている。彼の色彩豊かな作品群と教育者としての情熱は、多くの人々に影響を与え続けることだろう。