岩国市交通局

岩国市交通局（岩国市営バス）の歴史と終焉

岩国市交通局、通称「岩国市営バス」は、山口県岩国市および玖珂郡和木町を中心にバスを運行していた公営企業でした。その歴史は古く、1938年に岩国町営バスとして発足しました。

発足と発展

1938年10月1日、当時の玖珂郡岩国町が町営バスを発足させたのが始まりです。民営バスから路線権や車両を譲り受け、8輌のバスでスタートしました。その後、合併による市制移行に伴い、1940年に岩国市営バスへと名称を変更。事務所を岩国市錦見大名小路に置き、12輌のバスを所有していました。

戦後の1954年には、地方公営企業法の適用を受け、岩国市公営企業局のバス事業に移行。1957年には、運輸課と管理課のバス事業関連部分が独立し、岩国市交通局として新たなスタートを切りました。

路線網の拡大と変遷

岩国市営バスは、岩国駅を中心に路線網を拡大し、錦帯橋や新岩国駅、玖珂方面など、地域住民の生活を支える重要な交通手段として活躍しました。

主なターミナルは以下の通りです。

岩国駅
西岩国駅
錦帯橋（錦帯橋バスセンター）
新岩国駅

また、高速バス「錦帯ブルーライナー」も運行し、広島バスセンターとの間を結んでいました。

しかし、時代の変化とともに、路線の統廃合や運行経路の変更も余儀なくされました。例えば、かつては柳井駅までを結ぶ路線や、大竹市内へ乗り入れる路線も存在しましたが、徐々に廃止されていきました。

経営悪化と民営化

1973年には事業経営が悪化し、法再建の適用を受ける事態となりました。その後、経営再建に取り組みましたが、2009年には全額出資の子会社「いわくにバス株式会社」を設立し、一部の路線・車両・乗務員を新会社へ異動させました。

そして、2015年4月1日、ついに全路線をいわくにバスへ移管し、岩国市交通局は廃止されました。長年にわたり地域住民の足として親しまれてきた市営バスは、その役目を終えたのです。

特徴的なバス

岩国市交通局では、「名物バス」と称して特徴的な路線バスをいくつか運転していました。

いちすけ号: 岩国電気軌道の電車を模した電車風バス
せいりゅう号: 子供たちのデザインを元にしたペイントバス
ギャラリーバス: 車内をギャラリーとして活用したバス（おはんバス、島耕作バス、錦帯橋バス）

これらのバスは、地域住民に親しまれ、岩国市の観光PRにも貢献しました。

現在

岩国市交通局は廃止されましたが、その意思はいわくにバスに引き継がれ、現在も岩国市および和木町を中心にバスが運行されています。岩国市営バスの歴史は、地域とともに歩んだ公共交通の歴史として、人々の記憶に刻まれています。

参考資料

岩国市交通局 (1978). 市営バス40周年. (株)広島アド
岩国市交通局 (2000). 市営バス60周年記念誌. 岩国市交通局
岩国市史編纂委員会 (1971-12). 岩国市史 下. 岩国市役所
* 和木町史編纂委員会, ed (2003-10). 和木町史. 和木町

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