岩国港

岩国港：歴史と発展を続ける山口の拠点港湾

山口県岩国市と玖珂郡和木町に位置する岩国港は、古くから栄えた港湾として、現代においても重要な役割を担っています。本港は、国土交通省が定める重要港湾に指定されており、2010年には重点港湾にも選定、港湾法、港則法にも則った管理体制が敷かれています。

歴史を刻む港湾：江戸時代から現代へ

岩国港の歴史は古く、17世紀初頭、初代岩国領主・吉川広家の命により、錦川の河口部に物揚場が築造されたことに始まります。その後、今津川周辺の干拓事業も進み、現在の港湾区域が形成されていきました。19世紀初頭には麻里布湊の建設が始まり、港湾としての機能は着実に拡大していきます。

近代に入ると、1926年には内務省指定港となり、1948年には関税法に基づく開港となります。1952年には重要港湾に指定され、以降、継続的な整備と拡張が実施されてきました。

1992年には外航航路が開設され、コンテナ輸送量が急増。現代では、石油コンビナートや紙パルプ・化学工業と深く結びつき、原油、石油製品、木材チップなどの大量貨物輸送の中心となっています。近年では、国際貿易におけるコンテナ輸送も盛んです。

港湾施設と航路：多様なニーズに対応

岩国港は、本港港区と南部港区の大きく2つの地区から構成されています。本港港区はさらに室の木地区、新港地区、装港地区、装束港地区の4つの地区に細分化され、それぞれの地区に岸壁や物揚場などの施設が整備されています。

岸壁は水深10メートル以上のものが複数あり、大型船舶の接岸にも対応可能。物揚場は、より小型の船舶に対応できるよう設計されています。

旅客航路も存在し、岩国と柱島を結ぶ離島航路が現在も運航されています。過去には松山へのフェリーや高速船航路も存在しましたが、現在は廃止されています。

アクセスと利用状況

岩国港へのアクセスは良好です。JR岩国駅からいわくにバスの和木町方面行を利用し、「新港桟橋」または「新港」バス停で下車すれば、港へ容易にアクセスできます。旅客ターミナルである岩国港ポートビルも近接しており、利便性が高いです。

2009年度の利用状況を見ると、年間乗降人員は3万人近くに上り、入港船舶数は8,000隻を超えています。この数値は、岩国港が地域経済において重要な役割を担っていることを示しています。

未来への展望

岩国港は、歴史と実績を背景に、今後も地域経済の活性化に貢献していくことが期待されます。継続的な港湾整備と、貨物・旅客輸送の効率化、さらなる国際化への対応など、今後の発展が注目されます。

参考文献

* 国土交通省中国地方整備局宇部港湾事務所. “岩国港 整備事業の紹介”. みなとweb.

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