パルプ

パルプの概念と重要性

パルプは、主に製紙業に使用されるために分離された植物繊維であり、その製造には主に木材が用いられています。しかし、様々な植物繊維からもパルプが得られることから、草や藁、竹なども原料として利用されています。1765年、ドイツのシェッフェルが木材パルプを用いた紙の製造に成功して以来、パルプの重要性は高まり、現在では多様な原料から製造されるようになっています。

パルプの種類

パルプは、原料により大きく木材パルプと非木材パルプに分類されます。また、古紙から作られたパルプは古紙パルプと呼ばれ、これに対して木材や非木材から直接得られたパルプはバージンパルプとして区別されることがあります。

木材パルプ

木材の幹から樹皮を取り除き、チップ化したものを様々な方法（機械的、化学的、半化学的）で処理して製造されます。特に成長が早く、パルプ化に適した樹種が多く利用されるようになり、計画的な植林が行われています。

N材（針葉樹）

針葉樹から得られるN材は繊維が長く、強靭なパルプを生産します。しかし生育地域が限定され、成長速度が遅いため、供給には注意が必要です。

L材（広葉樹）

広葉樹から得られるL材パルプは、繊維が短く、パルプのキメが細かいですが、強度においてはN材に劣ります。ユーカリやポプラが主に使用されます。

非木材パルプ

非木材パルプは、一般的に木材パルプよりも繊維が長く、使用されることが多いです。種類も多く、伝統的な和紙などにも利用されますが、生産は限られています。特に、ワラパルプやバガスパルプなどは特定の季節や地域でしか採取できず、供給が不安定となることがあります。

古紙パルプ

古紙や裁落品を再利用する古紙パルプは、脱墨処理を経て紙原料として再生されます。この過程は環境負荷を抑えるためにも重要な手段ですが、収集ルートや分別状況により品質や価格に差が出ることが多いです。

パルプの製法

パルプは大きく二つの製法、機械パルプと化学パルプに分かれます。機械パルプは物理的な力で木材を破砕することで得られ、通常、リグニン含有量が多く褪色しやすい特性があります。一方で、化学パルプは木材を化学的に分解して製造され、純度の高いセルロース繊維を得ることができます。

製法の具体例

機械パルプには、砕木パルプやサーモメカニカルパルプが含まれ、化学パルプではクラフトパルプやサルファイドパルプが一般的です。化学パルプは高い強度を持ちながらも原料からの収率は50%程度とされます。

パルプの供給地

パルプは主にスカンジナビア半島や北アメリカで多く生産されており、これらの地域の供給が世界のパルプ市況に大きく影響この地区では植林が進んでおり、今後もその生産が期待されています。日本でもかつては樺太からの供給が主でしたが、最近ではブラジルやインドネシアでのユーカリ植林地の増加により新たなパルプ供給元が増えています。

商取引上の単位

パルプの取引では、水分を含む原料のため、重量単位による取引が難しいこともあります。そのため、風乾（Air Dry）や絶乾（Bone Dry）などの基準を設けて取引が行われます。

まとめ

このように、パルプは多くの植物から生産され、さまざまな製法や供給地によってその特性が異なります。持続可能な製造方法を追求し、環境に配慮したパルプ業界の発展が今後も重要です。

もう一度検索