岩山敬義

岩山敬義: 日本の農業の父

岩山敬義（いわやま たかよし、1839年11月18日 - 1892年1月13日）は、明治時代の日本において重要な役割を果たした官僚であり、特に農業政策に多大な貢献をした人物です。彼は、宮崎県と石川県の知事を経て、駒場農学校の初代校長として、日本の農業教育の基礎を築くと同時に、下総御料牧場の初代場長としても名を馳せました。

幼少期と経歴の始まり

岩山は薩摩藩家老岩山八郎太の子供として生まれました。幼名は壮太郎で、後に壮八郎とも呼ばれました。彼の家系は岩山半兵衛源直朝の支流とされ、彼自身も小姓として薩摩藩主に仕えることになります。13歳という若さで彼は南九州の藩に仕官し、江戸時代の中で多くの経験を積むこととなります。

明治元年、国家の転換期にあたる1868年に民部省にて地理司として勤務を開始。その後、彼はアメリカ合衆国への留学を決意し、1868年から1871年にかけて西洋の農業をはじめとする知識を広く学びました。この留学が彼の後の職業キャリアに深い影響を与えることになります。

農業政策と牧羊の推進

帰国後、岩山は日本における農業発展のために数々の取り組みを行います。特に注目すべきは、当時あまり知られていなかった羊の飼育に対して真摯に取り組んだことです。日本では古来より牛馬が中心とされる中、岩山はその価値を見いだし、政府の畜産政策において重要な役割を果たしました。

明治4年にはアメリカから種綿羊や牧草の種子、農機具を輸入し、農業試験場を設立。続いて、明治7年には下総に牧羊場と取香種畜場を創設しました。新たに設立された牧羊場では、アメリカ人牧羊家アップジョーンズを主任技師として招き、多くの専門知識を取り入れる事を考えていました。

しかし、明治11年にアップジョーンズが襲撃を受け重傷を負ったことで、この事業は途中で頓挫せざるを得なくなりました。その後、下総牧羊場は取香種畜場と合併し、再度の運営に回されましたが、岩山の牧羊に関する取り組み自体はこの時期に多くの基礎を築くことができました。

教育と政策の展開

岩山は農業政策だけでなく、農業教育の面にも力を注ぎました。明治11年に創設された駒場農学校では、通常の農学の教育に加え、外国からの教師を招聘し、最新の農業技術や知識を学生に教授しました。彼の取り組みにより、日本における獣医学の基礎も築かれることとなります。

その後、明治19年には農務局長に就任し、さらにそのキャリアを進めながら、宮崎県知事、石川県知事としての役割を果たしました。彼の政策によって、地方の農業振興が強化され、日本の近代農業が本格的にスタートする基盤が整ったと言えるでしょう。

遺産と功績

岩山敬義は1892年に54歳で亡くなりましたが、彼の残した業績は今日の農業政策や教育に引き継がれています。品川の海晏寺に葬られた彼の墓所には顕彰碑が建てられています。また、彼の姉が西郷隆盛に嫁いでいたことから、岩山は西郷の義理の弟という関係でもありました。

岩山の努力や貢献は、特に日本における牧羊業の発展において欠かせないものであり、今後も彼の名は日本農業における貢献者として感謝され続けることでしょう。

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