岩崎御嶽社

岩崎御嶽社（いわさきおんたけしゃ）は、愛知県日進市岩崎町のシンボル的な存在である岩崎御嶽山の、まさにその山頂に静かに鎮座する由緒ある神社です。この地は古くから霊山として、あるいは地域を見守る場所として親しまれてきました。

この神社の創建には、神秘的な物語が伝えられています。社伝によれば、創建は江戸時代末期の万延元年（1860年）に遡ります。当時、この地に明心と明寛という二人の篤い信仰心を持つ行者がいました。彼らはある夜、夢の中で神聖なお告げを受けたとされています。この示現に従い、二人の行者は、全国に御嶽信仰が広がるきっかけとなった霊峰・木曾の御嶽山へと向かいました。そして、木曾の御嶽山から尊い御嶽大神の御分霊をこの岩崎の地へと迎え入れ、新たな社を建ててお祀りしました。このように、岩崎御嶽社は、二人の行者の深い信仰心と天啓ともいえる夢のお告げによって始められたと言われています。

岩崎御嶽社の主祭神は、創建の経緯からもわかるように、御嶽大神です。広々とした境内は、岩崎御嶽山の豊かな自然に囲まれており、訪れる人々に清らかな空気と静寂をもたらしてくれます。本殿の向かって左手、すぐ脇には、ひっそりと口を開けた神秘的な洞穴が存在します。この洞穴は古くから「お助け穴不動」として知られており、その名の通り、中には尊い不動尊が祀られています。このお助け穴不動は、人々の様々な苦難や願い事を救済すると信仰されており、今なお多くの参拝者がこの洞穴の前で手を合わせ、静かに祈りを捧げています。洞穴という特殊な空間に祀られていることから、一層神聖で厳かな雰囲気が漂っています。

また、岩崎御嶽社の境内は、本殿周辺にとどまりません。中心部からやや離れた場所にも、信仰に関わる重要な施設が点在しています。本殿から見て北西方向、およそ400メートルほど離れた場所には、「奥之院」が設けられています。奥之院は、本殿からさらに奥まった場所に位置しており、より静寂で深遠な雰囲気に包まれています。特別な場所での祈りを求める人々にとって、奥之院は大切な存在となっています。

さらに、神社の敷地内、より正確に言えば神社の駐車場から山頂方面へ少し登った位置には、「ふれあいの森 平成展望台」が整備されています。この展望台は、地域住民や参拝者が自然の中で憩える場所として設けられており、特に素晴らしいのはその眺望です。展望台からは、日進市の市街地を一望できるのはもちろんのこと、遠くの山々や空の広がりまで見渡すことができます。晴れた日には、開放感あふれるパノラマ景観を楽しむことができ、登山や散策の疲れを癒やしたり、美しい景色を堪能したりするのに最適なスポットとなっています。

ただし、岩崎御嶽社の境内は、豊かな自然環境であると同時に、神聖な信仰の場でもあります。そのため、多くの神社と同様に、この岩崎御嶽社の境内（ふれあいの森 平成展望台のエリアも含めて）では、愛犬を連れての散歩や運動はご遠慮いただいております。これは、神聖な環境を守り、他の参拝者が安心して参拝できるよう配慮するためのものです。

岩崎御嶽社は、神秘的な創建の物語、洞穴に祀られたお助け穴不動、静かな奥之院、そして素晴らしい眺望を提供する平成展望台と、多様な要素が融合した魅力的な神社です。岩崎御嶽山の山頂という立地も相まって、訪れる人々に心身のリフレッシュと深い祈りの機会を与えてくれるでしょう。

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