行者

行者とは

行者（ぎょうじゃ）または行人は、修行を行う者のことを指します。この言葉は元々、仏教に限定されず、古代インドの宗教全般に広く使われていました。特に、断食や針山の上での坐禅などの厳しい修行を行うサドゥーが有名で、釈迦自身も悟りを開く前にこのような苦行を行っていたことで知られています。

日本や中国においては、行者は特に山岳での修行を行う人々を指すようになりました。たとえば、修験道の開祖である役小角は「役行者」と称されるなど、山の神々と深く結びついた存在として位置づけられています。また、修験道の行者たちに関しては、山伏も参照されることがあります。

一方で、「行者」という用語は別の意味でも使われます。行者（あんじゃ）は、仏教寺院において僧侶のように正式に出家せず、一般の人として寺の雑務を行う者を指します。具体的には、米搗きや薪拾いといった仕事を担う労働者のことを指し、特に中国の禅宗において多く見られます。禅宗の六祖、慧能が五祖の弘忍のもとで「盧行者」として米搗きに従事していたことは特に有名です。この事例は、慧能が六代目の祖として認められるきっかけになりました。

現在の日本の禅宗寺院においても、高位の僧侶の身辺を支える役割を担う僧侶が行者と呼ばれることがあります。彼らは、直接的な修行を行うわけではないものの、寺院の運営を支える存在として重要な役割を果たしています。

さらに興味深いことに、文学の中でも「行者」という言葉は使われています。例えば、『西遊記』に登場する孫悟空は、「悟空」という名前を避けるために「孫行者」または単に「行者」と呼ばれます。この表現は、元となる宋代の説話である「大唐三蔵取経詩話」に由来しています。この物語では、三蔵法師（玄奘三蔵）の守護者として猴行者が登場します。

以上のように、行者という言葉は多様な意味を持ち、修行者や宗教的な役割を持つ者、さらには文学作品の中でも重要な位置を占めています。行者が真に求めるものは何か、その探求の旅は今も続いているのです。それぞれの時代や文化において異なる解釈が存在し、行者の存在は人々の精神的な側面に深く根ざしていると言えるでしょう。

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