岩手県立産業技術短期大学校

岩手県立産業技術短期大学校（いわてけんりつさんぎょうぎじゅつたんきだいがっこう、英語表記：Iwate Industrial Technology Junior College）は、岩手県が設置・運営する職業能力開発短期大学校です。一般的には略称である「産技短（さんぎたん）」として広く知られています。

本校は、厚生労働省が定める「職業能力開発促進法」に基づき設立された公立の教育機関であり、主に高等学校卒業者を対象に、現代産業界で必要とされる実践的かつ高度な技術や技能を持つ人材を育成することを目的としています。二年間の本科課程を通じて、専門分野の深い知識と応用能力を修得します。

その歴史は1997年4月に始まりました。当時の労働省の認可を得て、最初のキャンパスが現在の紫波郡矢巾町に開校しました。これが現在の矢巾キャンパスの前身となります。その後、県内産業のさらなる発展と地域からの多様な要請に応えるため、2004年4月には奥州市に水沢キャンパスが開設され、二つの拠点体制となりました。また、より専門性の高い技術者を育成するため、2007年4月には矢巾キャンパスに産業技術専攻科が設置され、本科修了者や四年制大学卒業者などがさらに高度な専門技術を一年間で学ぶ機会が設けられました。

現在、本校は以下の二つのキャンパスを展開しています。

矢巾キャンパス：紫波郡矢巾町南矢幅10-3-1に位置しており、岩手県の中央部に位置します。多岐にわたる産業分野に対応した訓練科が設置されています。
水沢キャンパス：奥州市水沢佐倉河字東広町66-2にあり、岩手県南部の産業集積地に近い立地です。地域の主要産業に関連する技術分野に重点を置いた訓練科が開設されています。

各キャンパスでは、それぞれの専門分野に特化したカリキュラムと最新の設備を用いた実習が行われています。開設されている主な訓練科は以下の通りです。

矢巾キャンパス

メカトロニクス技術科：機械、電子、情報の知識を融合させたシステム技術を習得します。
電子技術科：電子回路設計、組み込みシステム開発、制御技術などを専門的に学びます。
建築科：建築物の設計から施工管理に至るまで、建築に関する幅広い技術と知識を修得します。
産業デザイン科：工業製品、グラフィック、空間デザインなど、産業に応用できるデザイン能力を養います。
情報技術科：ソフトウェア開発、ネットワーク構築、情報セキュリティなど、IT分野の専門スキルを磨きます。
能力開発研修科：社会人向けの技術向上やキャリアアップ、離転職者向けの再訓練などを目的とした多様な研修が行われます。
産業技術専攻科 生産システム技術コース（1年課程）：生産現場における高度なシステム設計や管理技術について深く研究します。

水沢キャンパス

生産技術科：製造プロセスの改善、品質管理、設備保全など、ものづくり現場を支える技術を学びます。
電気技術科：電気設備の設計、施工、保守、管理など、電力エネルギーに関わる技術を専門とします。
建築設備科：建築物に必要な空調、給排水、電気、防災などの各種設備に関する専門技術を習得します。

これらの訓練を通じて、学生は産業界で即戦力として活躍するための高度な技術と豊かな創造性を育んでいます。岩手県立産業技術短期大学校は、地域産業の活性化と技術革新を担う実践的なエンジニア、テクニシャンを育成する重要な役割を担っています。

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