岩水嘉孝

岩水嘉孝（いわみず よしたか）は、1979年6月20日生まれの日本の元陸上競技選手であり、現在は指導者として活躍しています。愛知県豊橋市出身で、身長174cm、体重53kgと、陸上選手としては比較的小柄な体格でした。専門種目は3000m障害で、かつては日本記録保持者であり、国際大会でも輝かしい成績を収めています。

選手としてのキャリア

岩水は、豊川高校時代にインターハイ3000m障害で優勝を果たし、その才能を開花させました。順天堂大学に進学後も、全日本インカレで同種目を制覇し、箱根駅伝では優勝メンバーの一員として活躍。同級生の入船満、奥田真一郎、野口英盛、坂井隆則とともに「順大クインテット」と呼ばれ、チームの黄金期を築きました。3年次には、出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の三冠達成に貢献しました。4年次には主将を務め、出雲駅伝三連覇を達成しましたが、箱根駅伝は肺気胸のため欠場を余儀なくされました。

大学卒業後は、トヨタ自動車に所属し、駅伝競走にも出場しましたが、2008年3月に北京オリンピックでの3000m障害に専念するため、富士通に移籍しました。その後、400mハードルの為末大や棒高跳びの澤野大地のように、ヨーロッパ各地の主要大会を転戦し、海外の競技者と競い合いました。華麗なハードリングで世界のトップ選手に挑む姿は、日本の3000m障害のパイオニアとして、多くの人々に感動を与えました。練習方法にも独自の工夫を凝らし、体幹トレーニングやエアロビクスを取り入れるなど、バラエティ豊かな練習メニューを考案していました。

2009年のベルリン世界陸上では、女子マラソンで尾崎好美選手の給水係を務め、ボトルを落とした尾崎選手に、全力で追走しボトルを手渡すという、好プレーを見せ、尾崎選手の銀メダル獲得に貢献しました。2012年のびわ湖毎日マラソンでは、唯一のフルマラソンに挑戦しましたが、2時間16分59秒の36位に終わりました。同年のロンドンオリンピック代表入りは果たせませんでした。

2013年3月に富士通を退社し現役を引退。同年4月からは、資生堂ランニングクラブの指導者として活動を始めました。2015年12月からは、JOCの推薦でスポーツ指導者の海外研修に参加し、オーストラリアのメルボルントラッククラブで指導法を学びました。2021年6月1日からは、資生堂ランニングクラブの監督に就任し、後進の育成に力を注いでいます。

3000m障害での実績

高校時代にインターハイで優勝を経験。2001年から2005年まで、日本選手権で5連覇を達成し、その後も2007年から2009年まで3連覇を果たすなど、計8回の優勝を飾りました。2002年の釜山アジア大会では、銀メダルを獲得しました。2003年には、ルツェルン国際でA標準記録を突破し、パリ世界陸上では、予選で日本記録を更新し、決勝進出を果たしました。これは、31年ぶりの快挙であり、日本人として初めて同種目で8分20秒未満を2回記録しました。予選で記録した日本記録は、2021年に後輩の三浦龍司選手に更新されるまで、長らく保持されていました。2007年のプレフォンテイン・クラシックでもA標準を突破し、世界選手権に4回連続で出場しました。

主な戦績

自己ベストは以下の通りです。

* 3000m障害：8分18秒93


岩水嘉孝は、選手としてだけでなく、指導者としても、日本の陸上界に貢献しています。彼の経験と知識は、これからの日本の陸上界を担う選手たちの成長に大きく貢献するでしょう。

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