岩沢愿彦

岩沢愿彦（いわさわ よしひこ、1921年 - ）は、日本の歴史学者であり、東京大学史料編纂所教授、東京大学名誉教授を務めました。

生い立ちと学歴

岩沢愿彦は國學院大學史学科を卒業後、1948年に東京大学史料編纂所に勤務しました。その後、助手を経て1970年に助教授、1973年に教授に昇進し、1982年に定年退官するまで長きにわたり東京大学で教鞭を執りました。退官後は名誉教授となり、日本大学文理学部教授も務めました。神奈川県川崎市に居住していました。

研究活動

岩沢愿彦は、高柳光壽、桑田忠親、奥野高廣らと共に、昭和初期に國學院大學を拠点として活躍した歴史学者の一人です。特に奥野高廣との共同研究は有名で、『信長公記』（角川文庫・1969年）の校注は、現在でも広く研究者に利用されています。また、織田信長や豊臣秀吉の時代に関する史料研究を精力的に行い、「山城・近江における豊臣氏の蔵入地について」（『歴史学研究』288号、1964年）、「石田三成の近江佐和山領有」（高柳光寿博士頌寿記念会編『戦乱と人物』吉川弘文館、1968年）、「本能寺の変拾遺-『日々記』所収天正十年夏記について」（『歴史地理』 91巻4号、 1968年）など、数々の重要な論文を発表し、戦国史研究の発展に大きく貢献しました。これらの研究は、戦国時代の政治や社会構造を深く理解する上で欠かせないものとなっています。

主な著作と校訂

岩沢愿彦は、研究活動の傍ら、多くの著作や校訂も手掛けています。

著作
『前田利家 (人物叢書)』吉川弘文館、1966年

校訂
田畑喜右ヱ門 撰『断家譜』第1-3 斎木一馬共校訂　続群書類従完成会、1968-69年
太田牛一『信長公記』奥野高広共校注　角川文庫、1969年
『徳川諸家系譜』第1-2　斎木一馬、戸原純一共校訂　続群書類従完成会、1970-74年
『系図纂要』第1-15冊別冊3 宝月圭吾共監修　名著出版、1973-75年
『古文書文例大字典』小川信、林睦朗共編　柏書房、1980年
* 『史料纂集 古文書編 賀茂別雷神社文書 第1』奥野高広共校訂　続群書類従完成会、1988年

これらの著作や校訂は、戦国時代や江戸時代の歴史研究において重要な資料となっており、多くの研究者に活用されています。

まとめ

岩沢愿彦は、日本の歴史学、特に戦国史研究において多大な貢献をした人物です。東京大学での長年の教育活動に加え、数々の著作や校訂を通じて、後進の研究者育成にも尽力しました。その業績は、今日においても高く評価されており、日本の歴史研究に大きな影響を与え続けています。

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