岩田巌

岩田 巌 (いわた いわお)

岩田巌（1905年4月20日 - 1955年3月3日）は、日本の著名な会計学者であり、経済界に多大な影響を与えた人物です。彼は、一橋大学商学部の教授職を務め、特に公認会計士制度や監査制度の創設において重要な役割を果たしました。彼の研究は緻密さと論理的考察に裏打ちされており、その業績は後の世代に大きな貢献をしています。

生い立ちと教育背景

岩田は東京都新宿区西大久保に生まれました。彼の先祖は武蔵野の郷士で、その家系図は現在も残されています。1923年に豊山中学校を修了した後、父の死を受けて早稲田実業学校に編入。その後、彼は1年間在籍しましたが、就職は果たしませんでした。1930年には東京商科大学本科を卒業し、さらに同大学の研究科に入学。大学時代はマックスウェーバーに関する研究を行い、学問の基盤を築きました。

1931年、岩田は中央会計研究所に入所し、翌年には東京商科大学の研究科を修了しました。その後、大学の講師として教壇に立ち、1937年には教授に昇進します。1941年には助教授としての職務も兼務しました。1951年には一橋大学商学部の教授として活動を続け、1955年に自宅で急逝しました。

業績と著作

岩田巌は、日本における公認会計士制度や監査制度の発展に深く関わっていました。1952年には大蔵省の公認会計士審査委員に就任し、その活動を通じて制度の基盤を築くことに寄与しました。彼は自らの研究成果をもとに『会計士監査』という著作を生前に発表し、死後には太田哲三博士と飯野利夫教授によって彼の研究がまとめられました。これらの成果は『会計原則と監査基準』や『利潤計算原理』として出版され、後の研究や実務に影響を与えました。

人的ネットワークと影響

岩田は東京商科大学で太田哲三に学び、彼の教え子の中には名誉教授の中村忠や森田哲弥、成蹊大学名誉教授新井益太郎などがいます。彼のゼミナール出身者には、大蔵省関税局長や太田昭和監査法人会長を務めた矢澤富太郎など、名だたる実業家もいます。さらに、豊山中学校時代には作家の坂口安吾と同級生で、大学では吉村寿雄（後の富士ゼロックス社長）とも同級生でした。

岩田巌は、その生涯を通じて会計学という分野において不朽の業績を残し、日本の経済界においてもその名を今なお知られています。彼の教えや研究は、これからの会計士や学者たちの指針として灯り続けることでしょう。

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