岩田昌征

岩田 昌征 (いわた まさゆき)

岩田昌征は、1938年7月2日に東京で生まれた日本の著名な経済学者であり、特にユーゴスラヴィアに関する研究で知られています。彼は千葉大学の名誉教授としても広く認識されています。

略歴

岩田の家族背景は、政治家および労働運動家である父、岩田英一に深く根ざしています。新宿高校を卒業後、東京大学文学部西洋史学科に入学し、1963年に卒業。さらに、1969年には一橋大学大学院社会学研究科修士課程を修了しました。彼の指導教官は岡稔氏でした。

1964年10月、岩田は日本を離れ、1965年1月にユーゴスラヴィアのリエカという町に到着します。この入国時に彼は初めて水洗便所を目にしましたが、その頃の東京・世田谷では水洗便所がほとんど普及しておらず、彼にとっては非常に新しい経験でした。しかし、ユーゴスラヴィアでは水洗便所があったものの、鉄道や道路などの基本的なインフラが不足していました。

1976年3月には青木昌彦の案内で中国を視察し、文革の終わり頃にあたる非常に閉鎖的な社会を体験しました。その後、1976から1978年にかけてポーランドとユーゴスラヴィアでの研究を行い、1977年には一橋大学より経済学博士の学位を取得しました。

シニア研究員としてアジア経済研究所、また北海道大学スラブ研究センターの教授を経て、千葉大学の社会文化科学研究科および法経学部で教授職を務めました。2004年に定年退官後は千葉大学名誉教授としての地位を保持し、東京国際大学での教授職も務め、2010年に退職しました。また、セルビア科学芸術アカデミーの外国会員にも選出されています。

著書

岩田は多くの著作を手掛けています。主な著書には以下のようなものがあります：

• - 『比較社会主義経済論』（日本評論社、1971）
• - 『労働者自主管理 ある社会主義論の試み』（紀伊国屋新書、1974）
• - 『社会主義の経済システム 現代・計画・市場』（新評論、現代経済学叢書、1975）
• - 『現代社会主義の新地平』（日本評論社、1983）
• - 『凡人たちの社会主義 ユーゴスラヴィア・ポーランド・自主管理』（筑摩書房、1985）
• - 『ユーゴスラヴィア 衝突する歴史と抗争する文明』（NTT出版、1994）

また、彼は編著や翻訳書も多数執筆しており、特にオスカー・ランゲの『再生産と蓄積の理論』などの翻訳を手掛けています。

影響と業績

岩田昌征の研究はアジアや東欧の経済体制について深い理解をもたらし、社会主義経済の構造とその変遷を詳細に検証しました。彼の作品は、経済学や社会学の分野において今なお影響力を持ち、多くの研究者から評価されています。彼の業績は、日本における経済学研究やユーゴスラヴィア研究に大きな貢献を果たしています。

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