岩田次夫

岩田次夫（いわた つぐお、1953年10月15日 - 2004年3月22日）は、同人誌研究家、同人誌評論家として知られる人物です。生活協同組合職員（システムエンジニア）としての顔も持ち、同人サークル「岩田次夫」を主宰していました。愛称はイワえもん。

生涯

幼少期は体が弱かったため、学業に力を注ぎ、存在感を示そうとしました。高校時代には学生運動に参加。埼玉大学進学後は生協運動に関わるようになり、卒業後は生協に就職しました。

日本共産党に入党しましたが、同人活動が多忙になったため、党員としての活動はほとんど行っていませんでした。1978年頃からコミックマーケット（コミケ）などの同人誌即売会に参加するようになり、当初は同人活動をファンのお遊び程度に捉えていましたが、次第にその考えを改めるようになりました。初期は読み手として参加していましたが、やがてサークルとしても活動し、同人活動に深くのめり込んでいきました。

学生時代には少女[[漫画]]を批評するサークルに所属していましたが、当時の少女[[漫画]]は読者同士が食い合うような状況であり、衰退しつつあったため、サークルの活動も数年で停止しました。漫画評論誌「ぱふ」では、少女[[漫画]]評論サークル「はんぷてぃだんぷてぃ」の一員として、年間少女[[漫画]]発行リストの作成に協力しました。同時期には、漫画家のファンクラブとの交流も深めました。

1986年からはコミケのスタッフとしても参加し、多くのサークルがコミケに参加できるよう、事務処理の効率化に貢献しました。本職のシステムエンジニアとしての知識を活かし、事務処理のコンピュータ化を推進した結果、参加可能なサークル数を大幅に増加させることに成功し、「コミックマーケット中興の祖」とも呼ばれるようになりました。当初は手伝いのつもりで参加していましたが、事務処理のあまりの杜撰さに主導権を握らざるを得なかったと述べています。

2003年夏のコミケ終了後から体調不良を自覚していましたが、10月に両足の麻痺が起こり入院。検査の結果、肺癌および脊髄腫瘍が発見されました。入院治療を続けましたが、翌2004年3月22日、肺癌に伴う重症肺炎により死去しました。享年50歳。

同人誌への情熱とコレクション

「大小問わず全ての同人誌即売会に参加する」、「ゆうパック数百箱分の同人誌を所持している（約5万冊）」、「マンションが買えるほどの金額を同人誌につぎ込んだ」など、数々の伝説を残しています。自宅には同人誌を収納しきれず、専用の書庫として2LDKのアパートを借りていたほどです。同人誌以外にも、少女[[漫画]]、フォークソング、軍事・歴史関連の書籍など、幅広い分野のコレクションを所有していましたが、同人誌が多すぎるため、多くを処分せざるを得なかったといいます。

彼のコレクションの一部は、米沢嘉博記念図書館に403箱分が寄贈され、現在も閲覧可能です。

キャラクター「イワえもん」

岩田をモチーフにしたキャラクター「イワえもん」は、ドラえもん風の着ぐるみを着た（顔はメガネをかけた中年男性）姿で描かれています。頭頂部からはアホ毛のようなものが伸びており、その先端には星が付いています。女性には過剰なほど優しく接する一方、男性キャラクターには厳しい言葉を浴びせるという、岩田本人とは全く異なる性格設定となっています。岩田の死後は、頭に天使の輪がつき、雲に乗って下界を見下ろす姿で描かれることが増えました。

コミックマーケットのカタログ内では、Dr.モローによって描かれた「イワえもん」のキャラクターが、多くのコミケ参加者から愛されています。

参考文献

* 岩田次夫『同人誌バカ一代　～イワえもんが残したもの～』久保書店、2005年1月10日、210頁、ISBN 4-7659-0049-5。

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