岩稲累層

岩稲累層（いわいねるいそう）

岩稲累層は、福井県坂井市から富山県魚津市にかけて分布する新第三紀八尾層群の地層です。この地層は、グリーンタフを含むことで知られています。主な分布地域は、富山県の神通川流域（大沢野、細入、八尾など）であり、石川県や福井県にはごく一部のみ分布しています。

概要

岩稲累層は、約2000万年前から1700万年前にかけて、海底火山から噴出した溶岩や火山砕屑物などが堆積して形成されました。これらの堆積物には、グリーンタフと呼ばれる緑色の凝灰岩が含まれています。同時期に形成されたグリーンタフの地層としては、近隣の医王山累層が挙げられます。この地層は、当時の火山活動を記録しており、地質学的に重要な意味を持っています。

地形

岩稲累層は、非常に頑丈で侵食に強い性質を持っています。そのため、この地層が露出している場所では、特徴的な地形が形成されています。例えば、神通峡のような深い峡谷や、岩室の滝のような滝地形は、岩稲累層の硬さによって形成されました。また、小佐波御前山は、この地層の海底火山溶岩からできた山であり、奇岩が多いことで知られています。これらの地形は、地質学的な特徴を理解する上で重要な手がかりとなります。

温泉

岩稲累層は、地熱活動が活発な地域に位置しているため、その下部岩体とともに、温泉の熱源となっています。この地層の深度数100m付近では、25度以上の温泉が湧出することが多く確認されています。1992年の調査では、富山県内の全源泉の68.1%が岩稲累層とその上部堆積岩から湧出していると報告されています。特に、金太郎温泉2号井では、74度という高温の温泉が湧出しており、地熱エネルギー資源としての潜在的な価値も示しています。これらの温泉は、地域社会において重要な観光資源や地域住民の生活を支える資源となっています。

脚注

岩稲累層は、グリーンタフを特徴とする新第三紀の地層です。
神通川流域に広く分布し、峡谷や滝などの地形を形成しています。
温泉の熱源として重要な役割を果たしており、多くの温泉が湧出しています。

関連項目

岩稲温泉
* 医王山累層

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