岩重隆治

岩重隆治は、1895年（明治28年）に山口県で生まれ、1975年（昭和50年）に79歳でその生涯を閉じました。彼は、大正後期から昭和期にかけて、内務官僚、警察官僚、そして弁護士として、日本の社会に深く関わりました。また、陸軍司政長官や最後の官選福岡県知事といった、重要な役職も歴任しました。

岩重は、小倉中学校（現在の福岡県立小倉高等学校）を経て、第三高等学校を卒業後、1921年（大正10年）に高等試験行政科試験に合格しました。翌1922年（大正11年）には、東京帝国大学法学部法律学科（独法）を卒業し、内務省に入省しました。入省後は、長野県属兼警部を皮切りに、鹿児島県や福岡県の警察部で保安課長、警務課長などを務め、その後も岡山県、愛知県、兵庫県、千葉県、京都府、青森県、三重県など、全国各地で要職を歴任しました。

1942年（昭和17年）には、陸軍司政長官に発令され、第16軍軍政監部付・バニュマス州長官として、終戦までその任に当たりました。戦後の1947年（昭和22年）には、最後の官選福岡県知事に就任し、県議会議員選挙や知事選挙などを執行しましたが、同年4月には依願免本官となり退官しました。陸軍司政長官の経歴が原因で公職追放となり、その後は弁護士として活動し、海外日系人協会理事長も務めました。

1969年春には、その功績が認められ、勲二等瑞宝章を受章しました。1975年3月10日に死去し、その死没日をもって従四位に叙され、さらに正四位に位一級追陞、銀杯一組が贈られました。

岩重隆治は、激動の時代を生き、行政、警察、軍政、そして法曹界と、多岐にわたる分野で活躍した人物です。そのキャリアは、日本の近代史を語る上で欠かせない重要な要素となっています。

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