岳林寺

岳林寺の概要

岳林寺（がくりんじ）は、大分県日田市北友田にある臨済宗妙心寺派の寺院です。1299年から1342年にかけて創建され、後醍醐天皇の綸旨や足利尊氏の支援によって設立された勅願寺です。現在の建物は江戸時代の1635年（寛永12年）に玉翁和尚の再興によるもので、現在の姿はその後の改修によって形成されました。

境内には、1343年に造られた釈迦三尊像や明極楚俊坐像など、多くの歴史的な資料や宝物が所蔵されています。また、安土桃山時代から江戸時代の古文書、絵図なども収めており、興味深い文化財が数多く存在します。岳林寺郷土資料館では、岳林寺文書や岳林寺絵図などが一般公開されており、訪れる人々にその魅力を伝えています。さらに、境内外には、片山磨崖仏や吹上観音像などの貴重な仏像も含まれています。

歴史

創建

岳林寺は、豊後国日田郡司大蔵氏の第10代当主である大蔵永貞によって、1299年頃から約13年の歳月をかけて建立されました。創建の具体的な経緯は不明ですが、日田の史家森春樹の著書『日田造領記』などにより、創建に関する話が伝わっています。これにより、岳林寺の山門などには天皇に由来する菊花紋が見られ、歴史の重みを感じさせます。

南北朝時代から江戸時代

11代大蔵永敏は、父の永貞の跡を継ぎ、1342年に岳林寺の堂塔伽藍を完成させましたが、その後一時的に困難に見舞われます。1431年には大蔵永秀によって再興が果たされました。しかし、南北朝時代や戦国時代の動乱により、再び荒廃に見舞われました。特に1444年には、大蔵氏直系の滅亡や大友日田氏の衰退が重なり、岳林寺に厳しい時代が訪れました。その後、近世に入ると再興が進みます。1672年には、徳川4代将軍家綱からの裁許状に基づき、寺領の再興や修復の支援が行われ、日田郡友田村の30石の領地が寄進されました。

明治から現在

明治時代に入ると、寺領はそのまま引き渡されましたが、神仏分離の令により、堂内の後醍醐天皇像や楠木正成の肖像は新たに分祀されることになります。また、1874年に社寺逓減禄により寺領は消滅し、現在残っているのは約3,500坪の約11,570㎡の境内部分のみです。

文化財

岳林寺には多くの重要文化財が所蔵されています。これらの中には、以下のようなものがあります：

• - 岳林寺木造明極楚俊坐像（大分県指定）
• - 絹本着色仏涅槃図（大分県指定）
• - 岳林寺木造釈迦三尊像（日田市指定）
• - 岳林寺弥勒菩薩坐像（日田市指定）
• - 岳林寺絹本着色明極楚俊像（日田市指定）
• - 岳林寺紙本墨書明極楚俊墨蹟（日田市指定）
• - 岳林寺絵図（日田市指定）
• - 岳林寺文書（日田市指定）

このように、岳林寺はその歴史的価値とともに、貴重な文化財を通じて日本の宗教文化の理解を深める重要な場所となっています。

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