岸一郎

岸 一郎の軌跡

岸 一郎（きし いちろう）は、1894年10月13日に福井県敦賀市で生まれ、1969年4月3日にこの世を去った日本の野球選手・監督です。彼は、旧制早稲田中学から早稲田大学を経て、満鉄のエースとして名を馳せました。岸は大学時代の仲間やライバルたちからも高く評価され、野球界の注目を浴びていました。

学生時代とバリュー

岸は早稲田大学時代に、今後も語り継がれる数々の成績を残しています。特にその投球技術は逸材とされ、同時代の仲間とは次元の違う存在感を放っていました。大学卒業後、満鉄に入社し、その後は台湾へ渡ります。戦後には兵庫県立神戸高等商業学校の監督としても活動しましたが、のちに野球界での新たな挑戦へと踏み出します。

大阪タイガース監督就任

1955年、岸は大阪タイガースの監督に就任します。この時、彼は全くの無名であったため、多くの驚きの声が上がりました。監督としての能力を評価した理由は、オーナーの野田誠三によるもので、ある雑談の中で彼が推薦されたことに起因しています。その経緯は、岸が頻繁に球団に意見を寄せていたことも関係していると言われています。

岸が監督を務めた際、彼は即座にチームの改編に着手しました。特に投手陣では、年齢を重ねた真田重蔵や藤村隆男らを若手選手に替え、新たな戦力を育成するための布石を打ちました。

若手重視の指導

岸は野手にも若手選手を起用しました。投手から転向した田宮謙次郎を4番打者に起用し、サードには三宅秀史を抜擢。このような若手中心のチーム方針は、当時の野球界に新風を吹き込みましたが、これが波紋を呼びます。特に、ベテラン選手の藤村富美男は、監督の指示に真っ向から逆らうこともあり、チーム内に緊張感をもたらしました。

短命な監督業

残念ながら、岸は監督としての活動を続けることができませんでした。彼はわずか33試合の後に病気療養の理由で監督を休養することとなり、その後、後任に藤村が就任しました。岸は休養中も定期的に二軍のグラウンドを訪れ、若手選手たちをサポートしていたと言われています。1956年には技術顧問として球団に残りますが、その活動内容は若手選手の指導やスカウト業務に留まりました。

legacy

岸監督の存在は、その後も多くの野球ファンに語り継がれることになります。就任時には賛否が分かれましたが、若手選手はのちにプロ野球で活躍し、岸が育成した選手たちの足跡は今も残っています。特に同年新人王を獲得した西村一孔は、岸の指導のもとで成長した選手の一人です。

1969年に亡くなった岸一郎は、野球界の一時代を担った人物としてその名を記憶されており、彼の影響力は現在も続いています。

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