西村一孔

西村 一孔（にしむら かずのり）

西村一孔は、1935年10月11日生まれで、1999年3月1日に他界したプロ野球選手です。彼は山梨県北都留郡富浜村、現在の大月市富浜町出身の投手であり、その愛称は音読みの「いっこう」に由来します。西村は、1955年シーズンにプロ入りし、阪神タイガースの選手として注目を集めましたが、その選手生活は短命に終わりました。

経歴と高校時代

西村は山梨県立都留高等学校に在籍し、2年次には夏の甲子園に出場しました。当時は捕手兼控え投手として活躍し、チームのエースは1歳年上の矢頭高雄でした。甲子園での試合では静岡県立静岡商業高等学校を破り、決勝では甲府市立甲府商業高等学校と対戦。延長21回の死闘の末、見事勝利し甲子園出場を決めましたが、その後は茨城県立水戸商業高等学校に敗れ、1回戦で姿を消しました。

高校卒業後は藤倉電線に就職し、同社の社会人チーム全藤倉に所属することになりました。社会人野球では吉田正男監督の目に留まり、1954年の都市対抗野球で活躍。初戦から3試合連続完封を記録し、注目度が高まりました。この活躍を受けて、同年冬には大阪タイガースに入団が決まりました。

プロ入りと活躍

1955年、阪神タイガースに入団した西村は、ルーキーとして開幕投手に起用され、見事に勝利を収めました。シーズンでは60試合に登板し、22勝17敗、防御率2.01という素晴らしい成績を記録。新人王を獲得し、オールスターにも選出されました。302奪三振の記録は当時、日本プロ野球の歴代2位にあたるもので、その後も長年多くのファンに記憶されています。

しかし、その活躍は短命でした。1956年のシーズンには肩を痛め、回復が遅れた結果、指導を受けずに盲腸炎を引き起こしました。シーズンオフには手術を受けるものの、体調は回復せず、1957年には肩の故障が悪化し、わずか5試合の登板でシーズンを終えました。以降は思うように成績を残せず、1960年には25歳で現役を引退しました。

引退後の人生

引退後はタイガースの二軍投手コーチとして過ごしましたが、短期間で退団。その後、レストラン・ビクトリアに入社し、最終的には専務取締役に昇進しました。1999年に胆管癌で亡くなるまで、63年間の人生を全うしました。

選手としての特徴

西村は、速球を武器にした独特の投球フォームの持ち主であり、この速球は特に外角低めにおいて威力を発揮しました。その特異なフォームは身体に負担をかけるもので、現役晩年には投げ方が変わってしまい、かつての剛速球が失われてしまったという意見もあります。加えて、縦割れのカーブも持ち味の一つで、打者にとっては非常に手ごわい存在でした。

西村のプロ野球生活は短かったですが、その中で築いた記録や伝説は、多くのファンに今でも語り継がれています。

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