岸本ヨシヒロ

岸本 ヨシヒロ は、1972年9月8日生まれ、大阪府岸和田市出身の日本のオートバイレーサーです。龍谷大学東洋史学科を卒業後、一度は会社員として勤務しますが、オートバイレースへの強い情熱からプロの世界へと転身しました。現在は愛知県一宮市に活動拠点を置き、フリーランスとして国内外の様々なレースで挑戦を続けています。特に海外の公道レースに活動の軸を移し、自身の走行だけでなく、電動バイクの開発・製作にも深く関わっています。

彼のレースキャリアは、2001年にサーキット走行会である梨本塾に参加したことから始まりました。翌2002年には、ツインリンクもてぎで開催された耐久レース「もてぎ7時間耐久レース」で公式戦デビューを果たします。レース活動を本格化させるため、2004年には勤めていた会社を辞め、文字通りレース中心の生活へとシフトしました。

国内レースでは、耐久レースでの輝かしい実績があります。2005年と2011年には、もてぎ7時間耐久レースで総合優勝という快挙を成し遂げています。また、国内ロードレースのエリア選手権でもタイトルを獲得しており、2007年には東日本エリア選手権のST600クラスでシリーズチャンピオンに輝き、翌2008年にはSUGO選手権のST600クラスでもチャンピオンを獲得しています。2015年には、もてぎ7時間耐久レースのST-CBRクラスで優勝（総合3位）し、さらに筑波選手権TC400クラスでもチャンピオンとなるなど、国内外で多様なマシン、カテゴリーで実績を積み重ねています。

国内での実績を重ねる一方、岸本ヨシヒロは海外の公道レースへの挑戦も積極的に行っています。2008年からはニュージーランドで開催される歴史ある公道レース、セメタリー・サーキットに参戦を開始しました。ここではF2クラスで8位（2008年）、4位（2010年）といった上位入賞を果たし、2014年にはF3クラスで2位表彰台を獲得するなど、公道レースの難しさの中で着実に結果を残しています。

彼のキャリアにおける重要な転換点の一つが、電動バイクへの取り組みです。2011年には電動バイクの世界選手権であるTTXGPに参戦し、予選2位となる速さを見せました。そして2012年、自らの理想とするレース活動を実現するため、電動バイクの開発・製造も行うレーシングチーム「TEAM MIRAI」を結成します。このチームは、愛知県一宮市を拠点に、電動バイクによる世界最高峰のレースへの挑戦を掲げました。

TEAM MIRAIとしての主な活動舞台は、世界の著名な公道レースです。モーターサイクルレース最大の聖地とも呼ばれるイギリス領マン島で開催されるマン島TTレースには、テストライダーとして参加するとともに、チーム監督としてチームを率いて参戦しました。また、アメリカ合衆国で開催される伝統のヒルクライムレース、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムにも積極的に参戦しています。パイクスピークでは、TEAM MIRAIが開発・製作した電動レーシングバイク「韋駄天ZERO」を自ら駆り、標高4300メートルを超える山頂を目指します。特に2015年と2016年には、電動バイククラスにおいて見事連続優勝を達成し、電動バイクの性能と自身のライディングスキル、そしてチームの技術力の高さを世界に証明しました。このパイクスピークでの優勝は、TTXGP参戦時から抱いていた電動バイクでの栄光という長年の夢を叶えるものでした。

さらに、彼は一般的なガソリンバイクや電動バイクに留まらず、ユニークな挑戦も行っています。2014年には、マン島で開催されるマンクス・グランプリのLAP OF HOUNOURというイベントにおいて、ディーゼルバイクでスネーフェルマウンテンコースを完走するという稀有な経験もしています。

岸本ヨシヒロは、単に速さを追求するだけでなく、新しい技術への挑戦や、フリーランスとしての多様な活動スタイルを通じて、日本のオートバイレース界において独自の存在感を示しています。彼の挑戦は、これからも世界の様々な舞台で続いていくことでしょう。

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