峰島秀

峰島秀（みねしま ひで）

峰島秀は、1916年生まれの日本の女子陸上競技選手であり、高等女学校の教師でもありました。1936年のベルリンオリンピックでは、陸上女子円盤投の日本代表として出場し、入賞を果たした名選手として知られています。

初期の経歴とテニスへの情熱

千葉県千葉市出身の峰島は、千葉第一尋常高等小学校から千葉県立千葉高等女学校へと進学しました。当初はテニスに打ち込み、1931年の県下女子庭球選手権大会や1932年の関東女子競技大会で優勝するなど、その才能を発揮していました。また、この頃から投擲種目にも取り組み、学友会誌に論文を寄稿するなど、文才にも長けていたため、「人見二世」とも呼ばれていました。

陸上競技への転向とオリンピック出場

日本女子体育専門学校（現在の日本女子体育大学）に進学後もテニスを続けていましたが、石津光恵の練習相手として砲丸投や円盤投を行う中で、陸上競技の才能が開花しました。周囲の勧めもあり、最終的に陸上競技へ転向を決意し、円盤投に専念しました。
1936年、ベルリンオリンピック関東陸上予選会で日本新記録を樹立し優勝。最終予選会では2位となり、見事ベルリンオリンピックの出場権を獲得しました。テニス選手として知られていた峰島の陸上での活躍は、地元千葉市の人々を驚かせました。母校の千葉高女は後援会を組織し、寄付を集め、盛大な見送りで峰島を送り出しました。

ベルリンオリンピックでの活躍とその後

ベルリンオリンピックでは、女子円盤投で5位入賞を果たしました。これは、日本人選手が円盤投で複数入賞した初の快挙でした。峰島の投擲シーンは、記録映画『民族の祭典』にも収められています。競技後には、他の日本人選手を応援し、閉会式では涙を流しながら、次のオリンピックへの決意を新たにしたと伝えられています。

帰国後は、女子体育連盟理事に就任し、日本選手権では優勝も果たしました。しかし、1938年に東京オリンピックの開催が返上されると、峰島はマツダランプ工場に転職し、その後、埼玉県立川越高等女学校の教師となりました。教鞭を執りながらも競技力向上に励みましたが、1939年に病気療養のため教職と陸上競技から退きました。

晩年と詳細不明な点

その後の峰島は、結婚して満州国へ渡ったという情報もありますが、詳細は不明です。晩年には日本女子体育大学同窓会の名簿に石川姓で登録され、神奈川県の湘南に住んでいたことが確認されています。

峰島秀は、女子スポーツの黎明期に国際舞台で活躍した先駆者として、その功績は語り継がれています。短期間でテニスから陸上へ転向し、オリンピック入賞を果たすという偉業は、多くの人々に勇気と感動を与えました。

参考文献
勝場勝子・村山茂代『二階堂を巣立った娘たち―戦前オリンピック選手編―』不昧堂出版、2013年
山本邦夫『日本陸上競技史』日本[[陸上競技連盟]]監修、道和書院、1979年

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