島の山古墳

島の山古墳：大和盆地の歴史を語る巨大前方後円墳

奈良県磯城郡川西町唐院に位置する島の山古墳は、馬見古墳群北群に属する前方後円墳です。その全長は265メートル、幅175メートルにも及び、盾型の周濠を有する壮大な規模を誇ります。国の史跡に指定されており、数々の貴重な出土品は国宝に指定されています。

古墳の構造と特徴

島の山古墳は、大和盆地の主要河川の合流地点という交通の要衝に築造されました。これは、同地域に存在する川合大塚山古墳と共通する特徴です。両古墳は墳形も酷似しており、何らかの関連性があったと推測されています。

墳丘からは葺石や様々な埴輪（朝顔形円筒、家形、盾型、靫形など）が発見されています。西側のくびれ部からは、祭祀に使われたと考えられる植物製の籠も出土しました。これらの遺物は、古墳の築造や埋葬儀礼について貴重な情報を提供しています。

古墳の存在は古くから知られており、江戸時代の学者、木内石亭の著書「雲根志」には、この古墳から出土した鍬形石が「神代石」として記されています。

埋葬施設と出土品

後円部の中心には竪穴式石室が存在したと推測され、石室の天井石が周囲に散らばっている状態で見つかっています。石材は兵庫県産の竜山石が使われています。残念ながら、過去の盗掘により多くの副葬品が失われており、その一部はアメリカの博物館にまで展示されているとのことです。

1996年の調査では、前方部頂上から粘土槨が発見されました。この粘土槨からは、滑石製勾玉、臼玉、管玉、琴柱型石製品など、2500点にも及ぶ遺物が大量に出土しました。これらに加え、棺上粘土からは車輪石、鍬形石、石釧、鉄小刀などが、棺内からは碧玉製合子、銅鏡、大型管玉、竪櫛、首飾り、そして手玉などが見つかりました。手玉の存在から、被葬者は女性であった可能性が示唆されています。

さらに、墳頂のくびれ部から前方部にかけて、大型の粘土槨が存在していたことも確認されています。これらの発見は、被葬者の身分や埋葬儀礼の詳細を解き明かす上で、重要な手がかりとなります。

文化財としての価値

島の山古墳とその出土品は、日本の歴史と文化を理解する上で非常に重要な文化財です。

国の史跡：2002年（平成14年）9月20日に指定されました。
国宝（重要文化財）：1998年（平成10年）6月30日に、島の山古墳出土品（考古資料）が指定されました。現在、奈良県立橿原考古学研究所附属博物館に保管されています。

これらの指定は、島の山古墳が日本の歴史にとって極めて重要な遺跡であることを示しています。今後の研究調査によって、さらに多くの情報が明らかになり、この古墳の持つ歴史的・文化的価値がより深く理解されることが期待されます。

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