島安次郎

島 安次郎（しま やすじろう）

島安次郎は1870年9月2日、和歌山県和歌山市に生まれた日本の著名な鉄道技術者であり、1946年2月17日に亡くなった。彼は鉄道技術の発展に多大な影響を与えただけでなく、家族も三代にわたり鉄道に関わる技術者を輩出したことで知られている。

経歴の概要

安次郎の家庭は和歌山で代々続く薬問屋「島喜」を営んでいた。教育を受けた後、第一高等学校を卒業し、東京帝国大学の機械工学科に進学。1894年には関西鉄道に入社し、後に汽車課長に昇進する。関西鉄道時代には、高性能機関車「早風」の導入に成功し、旅客サービスの改善にも寄与した。具体的には客車への等級別色帯の導入や夜間車内照明の整備を行った。

1907年には関西鉄道が国有化され、彼は鉄道院に仕官。技術幹部として蒸気機関車の開発に従事しながら、後藤新平と共に国鉄の広軌化計画を策定した。しかし、当時の政界では利権重視の方針が強く、彼の提案は受け入れられなかった。原敬内閣による狭軌の採用が決定された後、安次郎は辞職し満州へ渡る。

その後、南満州鉄道株式会社（満鉄）の管理職や社長代理を務め、1925年には汽車製造（汽車会社）の社長に就任する。1939年には鉄道大臣の諮問機関「鉄道幹線調査会」の特別委員長となり、「弾丸列車計画」を推進したが、戦局の悪化に伴い計画は頓挫した。戦後は1946年に自宅で死去し、その後の新幹線開発においては、息子の秀雄が彼の志を受け継ぐことになる。

家族の背景

安次郎の妻、順は日本郵船幹部の娘であり、その一族は鉄道技術者の末裔でもあった。彼の子供たちも全員が技術者として活躍し、長男の島秀雄は新幹線開発に貢献した。二男はソニー、三男は鉄道省の技師、四男は朝日麦酒の副社長、五男は海軍設計士から新幹線の開発に携わった。また、安次郎の孫も技術者としての道を歩み、台湾新幹線に関わった孫の島隆は世代を超えて鉄道界に貢献している。

栄典と評価

安次郎はその功績により多くの栄誉を受けており、1916年には旭日小綬章、1920年には旭日中綬章を授与された。1918年から1924年にかけては日本機械学会の会長も務めた。彼の業績は、今日の鉄道技術における基盤を築いたものであり、多くの後進に影響を与えた。

文化的な影響

安次郎の人生や業績は、テレビ番組や書籍などのメディアを通じて、今も語り継がれている。例えば、NHKの『プレミアム8』では彼の生涯が取り上げられ、多世代にわたる島家の物語が描かれた。

島安次郎は、ただ技術者としての道を歩んだだけでなく、家族に鉄道技術者を育てるという遺産を残した。彼の業績が新幹線の開発に結実したことは、日本の[[鉄道史]]における華々しい成果であり、彼の名は末長く記憶されるだろう。

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