島本和彦のマンガチックにいこう!

島本和彦のマンガチックにいこう!

『島本和彦のマンガチックにいこう!』は、漫画家・島本和彦が北海道のSTVラジオでパーソナリティを務めた、漫画やアニメの世界を深く掘り下げるラジオ番組です。2001年10月に放送を開始し、2008年9月まで多くのリスナーに親しまれました。

番組の特色と内容

この番組の大きな特徴は、毎週設定されるテーマに基づき、島本和彦自身がその作品やジャンルについて情熱的に語る点にありました。取り上げるテーマは、特定のアニメや漫画作品はもちろんのこと、「〇〇な作品」といった切り口まで多岐にわたりました。番組中では、テーマとした作品のアニメ音声や主題歌が効果的に使用され、作品世界への没入感を高めました。特に、作品の作者が聴取していないことを前提とし、時に手厳しいともとれるほど率直で熱い論評を展開するスタイルは、番組独自の魅力でした。また、作中の印象的な台詞をパーソナリティ自身が読み上げるコーナーも設けられ、名場面を音声で追体験できる試みも行われました。

ゲストと聴取範囲

ゲストとして登場したのは、普段あまりメディアに顔を出さないことでも知られる漫画家たちが中心でした。久米田康治、塀内夏子、藤田和日郎といった稀有な顔ぶれが出演し、ファンにとっては貴重な機会となりました。放送エリアは北海道内に限られていましたが、様々な方法を通じて、道外に住む熱心なファンにも広く聴かれていたことが知られています。

番組誕生の背景と制作体制

パーソナリティの島本和彦は、1980年代からラジオ番組を担当することに憧れを抱いていましたが、なかなか実現の機会を得られませんでした。しかし、取材でSTVラジオを訪れた際にアナウンサーと意気投合し、「ラジオ、やれるんじゃないですか」という話が盛り上がったことから、本番組の企画が具体化しました。番組で取り上げるテーマは、アニメ化された作品や、豊富な逸話を持つ作品など、「ラジオで語ることで面白くなるもの」が選ばれました。島本自身が一週間をかけて入念な事前調査（ビデオ視聴など）を行い、収録に臨んでいました。番組は基本的に、テーマ作品の主題歌から始まり、作品解説、そして最終回の紹介という構成で進行し、一回の収録にはおよそ3時間ほどを要していたと言います。

番組の展開と休止

番組は放送期間中、アシスタントを交えながら進行しました。初代アシスタントの室田智美をはじめ、渋谷愛奈美（モナミン名義含む）、宮田愛子、奈良愛美といった面々が島本を支えましたが、島本一人が進行を務めた期間も存在しました。2007年4月14日からは、島本氏の制作アシスタントである大哲氏と共に、番組の反省会という位置づけで「ポッドキャスティング版マンガチックにいこう」の配信も開始され、本放送とは異なる角度からのトークが楽しめました。また、STVラジオメンバーズサイト内に設けられた番組ブログ「マンガチックなたのしい感想文」は、番組休止後も更新が続けられ、プレゼント企画なども実施されていました。このブログは2012年にSTVラジオ公式サイトに移管され、2016年3月25日をもって終了しました。

番組は2008年9月、「半年間の休養期間」に入ると発表されました。しかし、この休養期間を経ての再開は実現せず、番組はそのまま終了という形になりました。その後、2010年1月3日には新春特別番組として一度だけ復活放送が行われましたが、レギュラー放送の再開には至りませんでした。

休止後の動きと復活特番

レギュラー放送終了後も、番組への根強い支持を受けてか、単発の企画がいくつか実現しています。2013年4月28日には、ニコニコ生放送で「島本和彦のマンガちっくにいこう！生誕52周年スペシャル！！」が配信されました。これはSTVラジオが直接制作に関わったものではありませんでしたが、かつて番組のオープニング曲として使用されていた『サイボーグ009』の主題歌が用いられるなど、本番組を強く意識した内容となり、島本氏自身が出演し、島田朋尚氏が進行役を務めました。

そして、番組終了から15年以上が経過した2023年2月5日、STVラジオの特別企画「サウンドプラントスペシャル」として、『島本和彦のマンガチックにいこう!リターンズ』が放送され、一夜限りの復活を果たしました。この特番では、かつてアシスタントを務めた渋谷愛奈美が再びアシスタントとして出演したほか、桜井浩子のスタジオインタビュー、麻上洋子や日髙のり子への電話インタビュー、そして市原武法や横山裕二がゲストとして生出演するなど、豪華な内容が展開されました。

番組を支えたスポンサー

本番組は、島本和彦と縁のある企業が提供スポンサーとして名を連ねていたのも特徴的です。小学館の「月刊サンデーGX」からは、『吼えろペン』や『BLACK LAGOON|BLACK_LAGOON』といった掲載作品のCMが放送されました。また、アニメグッズ販売店のアニメイトも主要なスポンサーであり、声優の関智一と長沢美樹による『アニメ店長』の寸劇CMが流れるなど、リスナーの記憶に残るユニークな展開がありました。番組エンディングには「アニメイトからのお知らせ」コーナーも設けられ、関智一、長沢美樹、島本和彦、そして当時のアシスタントだったモナミンによる公開収録が実施されたこともあります。アニメイトは、2023年の『リターンズ』特番でもスポンサーを務めるなど、番組との繋がりを保ち続けています。

放送時間変遷

番組の放送時間は、その期間中に何度か変更されています。

2001年10月 - 2003年3月: 土曜21:00 - 21:30
2003年4月 - 2006年9月: 土曜23:30 - 24:00
* 2006年10月 - 2008年9月: 土曜22:30 - 23:00

『島本和彦のマンガチックにいこう!』は、パーソナリティの情熱と、深い作品愛によって、北海道だけでなく全国の漫画・アニメファンに記憶される番組となりました。

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