島村穰

島村 穣（しまむら みのる）

概要

島村 穣（しまむら みのる）氏は、1944年（昭和19年）8月1日に埼玉県上平村（現在の埼玉県上尾市）で生まれた日本の政治家です。父はかつて村長を務め、政治が身近な環境で育ちました。上尾市役所に長年勤務して市政の実務経験を積んだ後、上尾市議会議員を1期務めました。その後、上尾市長選挙で当選し、3期にわたって上尾市の市政運営を担いました。市長としては行財政改革などを推進しましたが、在任中に発覚した汚職事件により逮捕・起訴され、任期途中で辞職。最終的に有罪判決が確定し、その政治家としてのキャリアを終えました。

経歴

埼玉県上平村（現・上尾市）出身。父は上平村長でした。小松原高等学校（現叡明高等学校）を卒業後、1963年（昭和38年）4月に上尾市役所に入所。長きにわたり市政の現場で勤務しました。2003年（平成15年）に市役所を退職。

市役所退職後、同年12月の上尾市議会議員選挙に立候補し、初当選を果たしました（任期開始は2004年1月1日）。市議会議員として1期務め、議会活動を通じて市政に貢献しました。

上尾市長として

市議会議員としての経験を経て、2008年（平成20年）2月3日に行われた上尾市長選挙に挑戦し、複数の候補者を破って初当選を果たしました。同年2月18日に上尾市長に就任。

その後、2012年（平成24年）2月には2期目の当選、2016年（平成28年）2月には3期目の当選を果たし、多選となりました。3期にわたる市長在任中、「誠心誠意」を政治信条とし、行財政改革に積極的に取り組みました。特に、市職員数の削減などにより、約45億円の経費削減を達成したとされています。

主な出来事と不祥事

3期目には、市政運営を巡る問題が表面化しました。

図書館移転を巡る住民訴訟

2017年（平成29年）1月5日、市が進める上尾市図書館の移転計画に関して、市民団体が市と島村氏らを相手取り、住民訴訟をさいたま地方裁判所に提起しました。市が締結した用地買収契約が高額であり、地方自治法に反して無効であると主張。売却元企業と島村氏に対し、買収費用約9500万円を市に請求するよう求める内容でした。

汚職事件と逮捕・起訴

住民訴訟が発生する中、同年10月30日、さらに深刻な事態が発生しました。市が発注したごみ処理施設関連事業の業務委託入札を巡り、事前に特定の業者へ予定価格を漏洩したとされる疑惑です。この問題に関し、公契約関係競売入札妨害および収賄の容疑で、島村氏は当時の上尾市議会議長であった田中守氏ら複数名と共に、埼玉県警察に逮捕されました。

埼玉県内の現職首長としては、1998年以来の逮捕でした。また、現職の首長と現職の市議会議長が同時に逮捕されるという状況は、全国でも前例のない極めて異例の事態として大きな注目を集めました。

辞職と裁判、判決

逮捕を受け、島村氏は市長の職務を続けることが不可能となり、2017年（平成29年）11月6日付けで辞職願を提出し受理されました。市議会議長も辞職し、同日開催の市議会で両名の失職が確定しました。

その後、島村氏は公契約関係競売入札妨害などの罪で起訴され、さらに賄賂罪や受託収賄罪でも追起訴されました。

一連の事件に対する裁判の結果、2018年（平成30年）3月23日、さいたま地方裁判所において島村氏に対し有罪判決が言い渡されました。判決内容は懲役2年6ヶ月、執行猶予4年、追徴金60万円でした。島村氏はこの判決を受け入れ、控訴しなかったため、同日付で判決が確定しました。これにより、約3期にわたる上尾市長としての島村氏の政治活動は幕を閉じました。

関連項目

* 上尾市図書館

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