島根あさひ社会復帰促進センター

島根あさひ社会復帰促進センター：更生と地域活性化の連携

島根県浜田市旭町に位置する島根あさひ社会復帰促進センターは、2008年10月に開所したPFI方式の刑務所です。美祢、播磨、喜連川に続く4番目のPFI方式刑務所として、その運営や取り組みは注目を集めています。約32万5千平方メートルの広大な敷地には、受刑者の生活空間となる刑事施設（9万8557平方メートル）と、地域交流を促進するためのエリア（1万6304平方メートル）が整備されています。

収容と職員

この施設では、犯罪傾向の進行していない男子受刑者約2000名を収容しています。 身体・知的・精神に軽度の障害を持つ受刑者（M指標・P指標）も受け入れています。職員は国家公務員の刑務官約200名と民間社員約300名で構成され、受刑者の更生支援に尽力しています。交通アクセスは、JR山陰本線浜田駅または広島駅から高速バスを利用できます。また、下部機関として浜田拘置支所を有しています。

更生教育と職業訓練：多様なプログラムによるスキル習得

島根あさひ社会復帰促進センターでは、充実した更生教育と職業訓練プログラムを提供しています。受刑者は、農作業や森林管理、農業支援、植物栽培といった農業関連の活動に従事する機会があります。さらに、伝統工芸である神楽面や和紙、陶器の製作にも携わることができ、創造性を活かしたスキルを習得できます。盲導犬候補犬の育成にも取り組んでおり、社会貢献につながる活動にも参加できます。

ビジネス基礎やITスキルといった現代社会で求められるスキル習得のための教育も行われています。理容師やホームヘルパーなど、資格取得を目指せるプログラムも用意されており、社会復帰後の自立を支援する体制が整っています。

地域との連携：刑務所誘致がもたらした地域活性化

かつて過疎化に悩まされていた旭町は、刑務所の誘致によって大きな変化を遂げました。2002年から町長が中心となってPFI方式の刑務所誘致に尽力し、2004年に決定通知を受けました。誘致成功の要因には、県との連携による土地提供、医療体制の充実、農村地帯での農業活動の促進などが挙げられます。

刑務所の誘致は、刑務官とその家族の流入をもたらし、人口増加、特に現役世代の増加に繋がりました。平均年齢と高齢化率の低下もみられ、地域に活気が戻っています。乳母車を連れた若い家族が増え、地域スポーツサークルが復活するなど、かつては「絶滅危惧種」とまで言われた光景がよみがえったと言われています。居酒屋や「道の駅」風のコンビニもオープンするなど、地域経済の活性化にも貢献しています。

さらに、日本の矯正施設で初めて文通プログラムを実現するなど、地域住民との交流にも積極的に取り組んでいます。

課題と未来：集団感染とドキュメンタリー映画

2019年には、インフルエンザの集団感染が発生し、受刑者と職員合わせて138人が感染しました。このような課題への対応も今後の課題となっています。

2020年には、受刑者同士の対話を通じて更生を促すTC（回復共同体）の取り組みを追ったドキュメンタリー映画「プリズン・サークル」が公開され、文化庁記録映画大賞を受賞しました。この映画は、島根あさひ社会復帰促進センターの取り組みと、その効果を広く社会に知らしめる役割を果たしました。

島根あさひ社会復帰促進センターは、更生支援と地域活性化の両面において、注目すべき取り組みを続けています。今後も、更なる発展と社会貢献が期待されます。

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