島津久徳

島津 久徳（しまづ ひさのり）

島津久徳は、幕末期の薩摩藩における家老であり、彼の生涯は藩政や家族との関係が深く関わっています。彼の出自は、島津氏の傍流である碇山氏の嫡家であり、家格は小番でした。しかし、天保11年（1840年）に大目付に昇進し、その翌年には寄合家格への昇格を果たします。

生涯と藩政の影響

久徳は、藩政改革に向けて重要な動きを見せていた家老調所広郷と親密な関係を築き、広郷の養女であるヒサが調所の嫡子左門に嫁ぐことでさらなる結びつきを得ました。弘化3年（1846年）、調所の推薦を受けて家老に昇進し、島津姓を名乗ることを許されました。

嘉永元年（1848年）の調所の死後、彼はその後継者として藩政を指導する立場に立ち、家格は一所持へと引き上げられました。これにより、久徳は藩内での権力を強化しましたが、政治的な対立も巻き起こします。

特に嘉永2年（1849年）には、斉彬を擁立する派閥との間で対立が激化し、近藤隆左衛門を含む暗殺計画が明るみに出たことで、首謀者たちを切腹に追い込むなどしました。しかし、この動きは幕府の介入を招き、もとより不安定な状況を生む要因となりました。お由羅騒動と呼ばれる騒乱の中、斉彬が藩主に就任する際、久徳は留任を許可されましたが、最終的には嘉永4年（1851年）に罷免される結果となります。

年譜

久徳の活動についても年譜を振り返ることで、その足跡を知る手がかりになります。

• - 天保5年: 日向国勝岡郷地頭に就任し、碇山仲左衛門を名乗る。
• - 天保9年: 伊作郷地頭を任され、碇山八郎右衛門久珍として活動。
• - 弘化3年: 1月11日に市来郷地頭に就任し、調所広郷の推薦で家老に任命される。

人物との関わり

また、彼の存在は当時の日記などに記録されています。側用人格側役の種子島時昉の日記には、久徳からの手紙が掲載され、彼の考えや人柄を知る手がかりとなっています。これにより、彼がどのように政治や藩内の問題に対処していたのかが見えてきます。

文化的な影響

久徳は、テレビドラマ『翔ぶが如く』（1990年、演：名和宏）や『篤姫』（2008年、演：天現寺竜）などに登場しており、幕末の政治の舞台の一端を担っていたことから、その影響は今日に至るまで息づいています。

参考文献

• - 『鹿児島市史三』
• - 『諸郷地頭系図』
• - 「鹿児島県史料 島津斉宣・斉興公史料』

島津久徳の複雑な生涯は、薩摩藩の歴史を理解する上で欠かせない要素であり、彼の行動がどのように藩の方針や権力構造に影響を及ぼしたのかを考えることは、幕末の理解に繋がる大切な鍵となります。

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