島津久統

島津久統（しまづ ひさのり）

島津久統は、江戸時代後期に活躍した薩摩藩士であり、都城私領主である都城島津家の23代当主です。

生涯

安永10年（1781年）、22代当主の島津久倫の嫡男として誕生しました。寛政元年（1789年）には、鹿児島城で元服し、久統と名乗るようになります。

文化9年（1812年）には、宗家である島津斉興の拝謝使として、家老以下を率いて江戸へ赴き、将軍徳川家斉に謁見しました。その際、太刀や馬などを献上しています。

文政2年（1819年）、父である久倫から家督を譲り受け、都城島津家の当主となりました。文政8年（1825年）には、家臣の登用にあたり、家柄や格式よりも実力を重視する方針を打ち出しました。具体的には、3代続けて職務に励んだ家は家格を昇進させる一方、職務を怠った家は持高や屋敷を没収するという厳しいものでした。さらに、家臣に対して常に文武両道に励むよう繰り返し通達を出すなど、人材育成にも力を注ぎました。

また、久統は産業振興にも熱心でした。文政年間には、前家老の安山松巌を大和国や河内国に派遣し、綿の栽培法を視察させました。さらに、肥後国にも派遣し、養蚕についても調査させています。これらの調査結果を踏まえ、領内に綿の栽培や養蚕を奨励し、領内の産業発展に大きく貢献しました。

領内の文化事業にも力を注ぎ、父である久倫が着手した領内の地誌編纂事業を引き継ぎ、その成果として『庄内地理志』全113巻を完成させました。この地誌は、江戸時代後期の都城を知る上で非常に貴重な史料であり、現在では102巻が現存しています。

天保5年（1834年）、鹿児島にて54歳で死去。龍峰寺に葬られました。

島津久統は、都城島津家の当主として、領内の政治、経済、文化の発展に大きく貢献した人物として、後世に語り継がれています。

参考文献

瀬戸山計佐儀『都城島津家歴代史　全』三州文化社、1992年
『都城市史』
* 『都城盆地 史跡ガイドブック ①旧都城市編』南九州文化研究会、2014年

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