島津久倫

島津久倫（しまづ ひさとも）

島津久倫は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した薩摩藩の武士であり、都城島津家22代当主です。宝暦9年（1759年）に20代当主・島津久茂の次男として生まれました。兄である21代当主・久般が早世したため、家督を相続することとなりました。

生涯

明和6年（1769年）に元服し、久倫と名乗るようになりました。安永4年（1775年）には、島津重豪が主催した犬追物に騎手として参加し、その功績から褒賞を賜っています。また、文武両道に秀でており、安永7年（1778年）には稽古館（学校）、安永9年（1780年）には講武館（武道場）を創建し、家臣の教育に力を注ぎました。

寛政2年（1790年）には、宗家である島津斉宣の拝謝使として江戸へ赴き、将軍・徳川家斉に拝謁し、太刀や馬などを献上しました。寛政3年（1791年）には、都城と宮崎を結ぶ大淀川の水運を円滑にするため、難所であった観音瀬の開鑿を家臣の藤崎公寛に命じました。この工事は難航しましたが、3年の歳月をかけて完成し、都城と赤江港（宮崎港）間の水運が大きく発展し、明治時代まで活用されました。工事に従事した農民には手当が支給され、特に水中で作業する者には粥や焼酎が支給されるなど、細やかな配慮も行われました。

寛政10年（1798年）には、領内の歴史や地理をまとめるため、庄内旧伝編集方を設置し、地誌編纂を命じました。この事業は息子の久統に引き継がれ、約30年の歳月をかけ、文政年間に「庄内地理志」全113巻として完成しました。文政4年（1821年）、64歳で亡くなり、龍峰寺に葬られました。

島津久倫は、都城島津家の当主として、領内の発展に大きく貢献しました。文武両道に優れ、家臣の教育にも力を注ぎ、また、水運事業の推進や地誌編纂など、多岐にわたる功績を残しました。その業績は、現在も多くの人々に語り継がれています。

参考文献

瀬戸山計佐儀『都城島津家歴代史　全』三州文化社、1992年
『都城市史』
* 『都城盆地 史跡ガイドブック ①旧都城市編』南九州文化研究会、2014年

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