島津久龍

島津久龍（しまづ ひさたつ）

島津久龍は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した薩摩藩の武士であり、都城島津家の19代当主です。都城島津家は、薩摩藩の有力な分家の一つであり、久龍は都城の領主としてその責務を担いました。

生涯

誕生と元服

延宝6年（1678年）、島津久龍は都城島津家18代当主である島津久理の長男として生まれました。貞享5年（1688年）には、鹿児島において祖父にあたる薩摩藩二代藩主・島津光久の加冠により元服し、当初は「忠置（ただおき）」と名乗りました。

江戸への随行と拝謁

元禄13年（1700年）、久龍は従兄にあたる島津綱貴に従って江戸へ赴き、将軍徳川綱吉に拝謁しました。この際、太刀や馬代金、小袖などを献上し、幕府との関係を深めました。

都城島津家家督相続

元禄15年（1702年）、父・久理の隠居に伴い、久龍は都城島津家の家督を相続し、19代当主となりました。翌年には、都城家に伝わる歴代の家宝を、近衛家を通じて朝廷に献上し、その功績を称えられました。

文化活動

宝永3年（1706年）、久龍は家臣である永井常喜（慶竺）に命じ、「高麗虎狩図屏風」を描かせました。この屏風は、現在も都城島津家に現存しており、当時の文化や美術を知る上で貴重な資料となっています。

改名

正徳3年（1713年）、島津宗家から、都城家の嫡男は「久」の字を、次男以下は「資」の字を用いるようにとの命が下されました。これを受け、久龍はそれまでの「忠置」から「久龍」へと改名しました。

将軍への謝礼言上

享保2年（1717年）、将軍家から島津宗家に判物が下されたことに対する謝礼を述べるため、島津宗家の代理として江戸へ赴き、将軍徳川吉宗に拝謁しました。この際、久龍は都城島津家を代表して、幕府との関係をより一層強固なものとしました。

死去

元文5年（1740年）、島津久龍は63歳で亡くなりました。彼の遺体は、龍峰寺に葬られました。

まとめ

島津久龍は、都城島津家の当主として、その時代を力強く生き、政治、文化の両面で大きな足跡を残しました。彼の生涯は、江戸時代における地方領主の役割や、文化的な側面を理解する上で重要な手がかりとなります。

参考文献

瀬戸山計佐儀『都城島津家歴代史　全』三州文化社、1992年
『都城市史』
* 『都城盆地 史跡ガイドブック ①旧都城市編』南九州文化研究会、2014年

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