島津忠之

島津忠之：播磨島津氏の悲劇の武将

島津忠之は、戦国時代に活躍した武将であり、播磨島津氏の16代当主です。赤松氏の家臣として知られています。彼の生涯は、多くの謎に包まれており、確実な史料は多くありません。しかし、その短い生涯の中で、彼は激動の時代を生き抜き、戦場で散華したと伝えられています。

生涯

島津忠之は、島津忠長の長男として生まれました。天文3年（1534年）、父・忠長が朝日山の合戦で戦死すると、播磨島津氏の本領である播磨国布施郷・下揖保庄は一時的に空白地となりました。しかし、天文23年（1554年）12月27日、忠之は赤松晴政の奉行・難波泰興によって、布施郷・下揖保の地頭職を返付されています。このことから、忠之が播磨島津氏の家督を継ぎ、領主として活動していたことがわかります。

忠之の最期については、二つの説があります。一つは、永禄12年（1569年）に赤松政秀と小寺政職が戦った青山合戦に参戦し、討死したという説です。もう一つは、天正3年（1575年）に小寺政職と戦って戦死した島津新九郎と同一人物であるとする説です。しかし、後者の説を裏付ける史料は存在しません。いずれにしても、忠之（あるいは新九郎）は赤松氏側として小寺勢と戦い、戦死したことは確かなようです。

青山合戦と稲岡神社

青山合戦では、多数の戦死者が出たと伝えられています。この戦いで命を落とした人々を弔うため、青山の人々は稲岡山南麓の稲岡神社（現在の兵庫県姫路市）に、稲岡大明神として祀りました。播磨島津氏21代当主・島津良久によれば、青山の人々は毎年9月15日に祭りを催し、戦死者の霊を慰めていたといいます。

稲岡山（標高68.3m）は、『播磨国風土記』に記された「稲牟礼丘」（いなむれおか）であり、古墳時代中期の前方後円墳でもあります。稲岡神社は、柿本人麻呂が滞在したことでも知られており、摂社には人丸神社（祭神は柿本人麻呂公）が祀られています。この神社は、地域の歴史と人々の信仰を今に伝える貴重な場所となっています。

島津忠之は、戦国時代の激しい戦乱の中で、その短い生涯を終えました。彼の具体的な事績については不明な点が多いですが、彼が地域の人々に深く記憶され、その霊が慰められているという事実は、彼の存在が人々の心に深く刻まれていることを示しています。稲岡神社は、そんな彼の悲劇的な生涯を語り継ぐ、歴史の証人と言えるでしょう。

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