小寺政職

小寺政職：播磨の戦国武将、その栄光と挫折

小寺政職は、戦国時代を駆け抜けた播磨国の武将であり、小寺氏の当主でした。父は小寺則職です。彼は、後の黒田官兵衛の母であるお岩と妻である光を養女として迎え入れるなど、複雑な人間関係のなかで重要な役割を果たしました。

赤松氏重臣としての始まりと独立勢力の形成

享禄2年（1529年）、政職は播磨御着城の城主、小寺則職の長男として誕生しました。小寺氏は、赤松氏の分家筋にあたる名家で、政職の祖父の代までは姫路城を拠点としていました。代々赤松氏の重臣として仕え、主君である赤松晴政から偏諱を受け、「政職」と名乗りました。天文12年（1543年）、塩田城主であった親戚の小寺福職を補佐した後、天文14年（1545年）には父から御着城主の地位を継承しました。

その後、幾多の小競り合いを勝ち抜き、播磨平野を拠点とする半独立勢力として勢力を築き上げました。政職は、外様家臣であった小寺孝隆（後の黒田官兵衛）の才能を見抜き、彼を厚遇し、自らの従姪を妻として与えました。永禄元年（1558年）には、主君である晴政を廃し、その嫡男である義祐を新たな主君として擁立しました。

織田氏への服属と毛利氏との対立

播磨国には東から織田氏、西から毛利氏が迫りつつありました。政職は当初、織田氏と通じる龍野城主の赤松政秀や三木城主の別所安治・長治親子と敵対し、永禄12年（1569年）には青山・土器山の戦いで赤松軍と、天正元年（1573年）には増位山・有明山城で別所軍と戦闘を行いました。しかし、小寺孝隆の進言を受け、織田信長への服属を決意します。天正3年（1575年）には孝隆を岐阜に派遣し、自らも信長のもとへ挨拶に参上しました。

天正5年（1577年）、播磨沖に襲来した毛利軍を孝隆の奇策によって英賀合戦で撃退しました。その後、信長から人質の提出を命じられましたが、子の氏職が病弱であったため、孝隆の子である松寿丸（後の黒田長政）を代わりに提出したと伝えられています。この頃から、孝隆は小寺家臣というよりは、信長、そして羽柴秀吉の部将として活動する機会が増えていきました。

信長への反逆と最期

天正6年（1578年）、荒木村重が有岡城で信長に反逆すると、政職もこれに呼応し、信長に背いて毛利氏と通じました。天正7年（1579年）に有岡城、天正8年（1580年）に三木城が落城すると、御着城も天正8年に落城。政職は氏職とともに英賀を経て、毛利領の備後国鞆の浦へ逃れました。そこで足利義昭に仕え、幕府衆となりました。天正12年（1584年）5月、鞆で生涯を終えました。

家族と子孫

政職の妻は、族兄である小寺福職の娘でした。長男の氏職は後に黒田氏に仕え、子孫は福岡藩士として代々続きました。次男の良明の子孫は尼崎藩青山氏に仕え、後に赤松氏に改姓しました。その他にも、御着落城後に岡村秀治の養子となり播磨に土着した天川正則も政職の子であるという説があります。2014年には、政職の終焉の地と伝わる兵庫県太子町広坂で、子孫や住民らが集まり、政職を顕彰する集会が開かれました。

小寺政職を取り巻く人物と関連作品

政職には、黒田職隆、小寺隆則、小寺孝隆など多くの家臣が仕え、彼らとの関係も政職の生涯を語る上で欠かせません。また、政職は数々の関連作品にも登場し、様々な解釈で描かれています。これらの作品や文献を通して、小寺政職の生涯とその時代背景をより深く理解することができるでしょう。彼の生涯は、戦国時代の複雑な政治情勢と、武将たちの苦悩と決断を象徴する物語として、現代にまで語り継がれています。

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