島田テル

島田テルの生涯

島田テル（しまだ てる、原名：島田彰）は、1905年11月17日に茨城県水戸市で生まれた日系アメリカ人の俳優です。彼は1950年代から1970年代にかけて、多くの映画やテレビドラマに出演し、特に1967年の『007は二度死ぬ』で演じた大里化学社長役で多くの人に知られるようになりました。

幼少期と早期の経歴

テルは水戸中学を卒業すると、家業の島田医院を継ぐことなく一人でアメリカへ移住します。新たな土地での生活を支えるため、彼は船中で皿洗いや掃除夫として働きながら、夢である俳優への道を模索しました。苦労の中で彼は映画スタジオの清掃員として働いていた際、スカウトの目に留まり、俳優としてのキャリアをスタートさせるきっかけを得ます。

映画界への道

彼の初出演作は1932年の『Night Club Lady』であり、その後も多くの作品に登場しました。特に1939年の映画『Mr. Moto's Last Warning』では、ミスター・モト役のピーター・ローレと共演し、俳優としての存在感を示しました。1946年には、ハンフリー・ボガートが主演する『東京ジョー』で悪役を演じるなど、その演技力は評価されていきました。

戦時中の苦難

しかし、彼の人生は順風満帆ではありませんでした。第二次世界大戦中、彼は日系人としてポストン戦争強制収容センターに収容される苦難を経験します。この経験は彼にとって大変辛いものであり、日本人のアイデンティティを持ちながら異国で生活するという複雑な状況を強いられました。

再起と国際的な活躍

戦後、彼は再び映画の世界に戻り、1966年には20世紀フォックスによる映画『バットマン』にクレジットなしで日本の代表者として出演しました。また、同年には連続ドラマ『Voyage to the Bottom of the Sea』など、さまざまなテレビシリーズにも登場し、長い俳優生活を続けました。特に有名なのは、1967年の『007は二度死ぬ』での大里役で、多くのファンに強い印象を残しました。

日本への帰還

1966年8月14日、彼は40年ぶりに故郷日本を訪れ、姉弟との再会を果たしました。この喜びの再会は、彼にとって人生の大きな出来事となりました。帰国後、茨城に里帰りし、念願の鎌倉観光も楽しみました。また、彼の自宅には日本庭園が造られ、その池には鯉が飼われていて、名付けられた「西郷」という名前が愛されています。

影響と遺産

彼が演じた大里役は、後に『オースティン・パワーズ』シリーズでパロディ化されるなど、映画の世界でも記憶に残ります。1988年6月19日、カルフォルニア州エンシノで亡くなり、その遺骨はロサンゼルスのフォレスト・ロウン記念墓地に埋葬されました。島田テルは、日系アメリカ人としての誇りを持ち、映画界に貢献した偉大な俳優としてその名を残しています。

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