島碩弥

島碩弥の生涯と業績

島碩弥（しま ひろみ、1935年8月29日 - 2004年7月5日）は、元ラジオ山陰（現：山陰放送）やラジオ関東（現：アール・エフ・ラジオ日本）のアナウンサーとして活躍した日本のメディア界の重要な人物です。彼の生涯は、ラジオというメディアの中で多くの歴史的瞬間を伝え、清新な視点で日本の事象を描き出すことに尽力しました。

来歴とキャリア

鳥取県で生まれた島は、幼少期から雑誌「野球少年」に掲載されていた志村正順の連載を通じて放送の世界に魅了されました。高校を卒業した後、大学に進学したもののわずか3ヶ月で中退し、ラジオ山陰に入社しました。この時期、アナウンサーになるためには大学卒が一般的な条件であったため、島の早すぎる採用は彼の叔父と当時の社長とのつながりによるものでした。

1958年の12月、島はラジオ関東に移籍し、多くのDJ番組の企画や制作、出演を行いました。特に彼の独自のスタイルと独特の声は、多くのリスナーに支持され、彼の存在感を際立たせました。

歴史的な出来事

1960年6月15日、彼のキャリアの中でも特に有名な出来事が発生しました。この日、全学連の学生を中心に行われた安保条約反対デモが国会に突入し、警官隊との衝突へと発展しました。その中で、ラジオ関東は唯一、生中継による実況を行いました。島はその現場で、機動隊員に警棒で殴られながらも、視聴者に向けて状況を詳細にリポートし続けました。

彼の生々しい放送は、日本社会における暴力の現実を浮き彫りにしました。「只今実況放送中でありますが、警官隊が私の顔を殴りました」といった言葉と共に、彼は自らの身を時間の中で捨て、真実を語り続けました。この事件は、島の名声を高め、彼がただのアナウンサーでなく、歴史の証人であったことを示しています。

プロ野球と文筆活動

安保騒動後も、島はプロ野球やラグビー、その他のスポーツ中継において活躍を続けました。特にプロ野球界では、巨人戦の実況が多く、その場面は多くのファンに記憶されています。定年後も彼は嘱託として実況の仕事を続け、長年に渡ってスポーツの伝道師としての地位を確立しました。

さらに彼は文才も持ち合わせており、週刊ベースボールや東京スポーツなどでコラムを連載していました。これにより、球界の裏話やエッセイ集も出版され、彼の知識や経験を広める手助けとなりました。

最期の時

2004年7月5日、島は脳幹出血のため神奈川県横浜市の病院で68歳でこの世を去りました。その死は、日本の放送界における偉大な一人の喪失を意味しました。彼の生涯を通じた多くの活動は、今でも多くの人々に記憶され、後の世代に語り継がれています。

著書

• - 『プロ野球とっておきの話』（光文社）

島碩弥の人生は、放送とスポーツの交差点で新たな価値を生み出した、まさに多面的なものでした。

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